スマホで「特殊清掃」という言葉を見つけて、どんな清掃だろう?と思い、「特殊清掃とは」って検索されていますよね。
そこで、このページでは、2008年から特殊清掃業を営む私が、ズバリ「特殊清掃とは?」の疑問にお答えいたします。
特殊清掃とは
はじめに「特殊清掃とは」の疑問に対して、下記3つの視点から基本的な情報を挙げてみました。
- 特殊清掃の定義
- 特殊清掃の目的
- 遺品整理との関係/違い
それでは、1つずつ詳しく解説していきますね。
①特殊清掃の定義
特殊清掃とは、通常の清掃やハウスクリーニングと区別するために、一般的には次のように定義できます。
孤独死や自殺、事故死、事件などで遺体の発見が遅れ、遺体の腐敗や腐乱による臭いや菌で、ダメージを受けた部屋を退去できるよう原状回復する作業を指します。 具体的な作業内容には、腐敗した血液や体液が付着した汚染物や髪の毛、皮膚などの回収と腐敗体液で汚染された床やフローリングの洗浄、壁紙などの消臭剤噴霧、死臭が付いた家財道具の分別/処分などになります。 |
簡単に言いますと、作業者が防護服やマスクを着用して、孤独死や自殺などがあった故人の死後部屋を生前の状態、住めるように戻す片付けや清掃、処理をする事です。
また特殊清掃業者とは、上記で定義した作業を業務サービスとして、専門またはメインにしている会社や事業主を指します。
特殊清掃の資格認定について |
因みに、民間の社団や協会などで特殊清掃の資格を認定/取得できますが、国家資格ではないので、無資格で開業しても適切であり違法ではありません。 |
②特殊清掃の目的は消臭脱臭と消毒殺菌
特殊清掃の「清掃」とは、一般の清掃業者やハウスクリーニング業者が行っている見た目をきれいにする「清掃」とは異なります。
腐敗した遺体があった部屋に入室された経験がある人ならお分かりになると思いますが、特殊清掃の最大目的は下記2つです。
- 異様な臭気、異臭、悪臭の消臭脱臭
- 有害な病原菌や細菌、雑菌の消毒殺菌
室内の消臭や殺菌が確実にされていないと、ウイルス感染症リスクがあり、衛生的に清掃できたとは言えないので、多くの人は、この消臭脱臭と消毒殺菌を目的に、特殊清掃の依頼を検討されています。
③同時によく耳にする遺品整理とは異なるが…
一方、遺品整理とは、持ち主だった故人の日用品や家具などの家財の中から貴重品有無の分別や形見を分けながら整理して、回収処分する事を言います。
特殊清掃と遺品整理は、文字通り「清掃」と「整理」ですので、その作業内容は全くの別物です。
しかし、遺品にも死体から発生した異臭や悪臭は染み付いているので、汚物である遺品を部屋から搬出しない限り、臭いはどうしても残ってしまいます。
そのため、特殊清掃をする際は、遺品の分別整理や仕分けて、部屋から運び出す事も不可欠と言っていいでしょう。
特殊清掃が必要になるケース
次に、一般の人にも可能性がある特殊清掃が必要になる主なケースを3つ紹介します。
①孤独死・病死・自殺・事故死(変死)
人間は、病気や自殺、事故など、何らかの原因で孤独死して、下記日数が経過すると、その遺体は腐食して、強烈な悪臭を放ち始めます。
- 【夏場】死後2日
- 【冬場】死後5日
何故ならば、体内に生息していたコロナを含む病原菌や空気中に漂っていた細菌や雑菌が、免疫力が無くなった遺体の体内で異常に繁殖増加して、一気に肉体を腐敗させるからです。
強力な臭気が害虫を引き寄せる
特に、皮下脂肪が多かった死体では、発せられる腐敗臭は、この世のものとは思えない悪臭で、脳裏に刻まれてトラウマになる臭気レベルです。
その臭気に引き寄せられて、ゴキブリやハエなどの虫が集まり、遺体を栄養分にして、産卵→孵化→成虫を繰り返して、ネズミ算式に害虫が繁殖します。
こんな凄惨な汚れる部屋になると、もう完全に一般の清掃業者やハウスクリーニング業者では、手に負えないので、特殊清掃業者に任せるしか解決方法はありません。
②ゴミ屋敷・犬猫屋敷
実は、セルフネグレクトによるゴミ屋敷の片付けや清掃は、部屋に溜まったゴミの量によっては、特殊清掃業者以外に相談・依頼をしたほうがよいケースもあります。
具体的には、下記の【レベル❶〜❷】なら、自力やハウスクリーニング業者、便利屋でも清掃が可能でしょう。
- レベル❶:少量のゴミが床に散らかっている
- レベル❷:ゴミ等で床半分以上が見えない
- レベル❸:ゴミ等でほぼ床全面が見えない
- レベル❹:天井高さ3分の1までゴミが堆積
- レベル❺:天井高さ2分の1以上ゴミが堆積
一方【レベル❸〜❺】なら、まずは特殊清掃業者に相談される事をおすすめします。その理由は、意外にゴミ屋敷での孤独死現場って多くて、その片付けや清掃の経験値が高いからです。
特に、飲食物が腐った臭いや糞尿のアンモニア臭、大量のゴキブリによる特有の臭いが漏れるゴミ屋敷や犬猫屋敷は、消臭の技術と経験が豊富な特殊清掃業者への依頼が必須と言えます。
③火災・水害
その他、人の死亡や住まいに関わらないケースでも、強烈な臭いを消したいのなら、特殊清掃を依頼されたほうが良いでしょう。
その代表的なケースが火災現場です。消防によって、火は消火できても、焼き焦げた嫌な臭気トラブルまでは解消されません。
その原因は、炭やすす(煤)が残っているからです。それら悪臭元を取り除くには、消火放水でグチャグチャになった室内での作業が必要ですが、ダイオキシン危険を伴う為、ハウスクリーニング業者は未対応です。
またトイレ詰まりの水害では、目に見える箇所だけ清掃や消毒をしても、糞尿を含んだ汚水や汚物が、床下や壁の中まで浸水していて、いつまでも異臭が消えないので、これもまた特殊清掃する必要があると言えます。
弊社が行った特殊清掃の実績写真
弊社に依頼された故人借主の親族や物件の大家/貸主であるお客様の中から、ネット公開の許可を頂いた特殊清掃写真の一部を実例として掲載しています。
【事例①】フトンの中
実際に孤立死が起こった部屋の様子。亡くなってから時間が経過したため、布団の上に人型になって体液がくっきり残っています。
特殊清掃の作業内容 |
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【事例②】トイレ
戸建住宅での孤独死画像です。トイレでの孤独死は非常に多く、気分が悪くなりトイレに駆け込み、そのまま亡くなるケースが多いようです。
特殊清掃の作業内容 |
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【事例③】浴槽
家主の話では、風呂を沸かしながら入浴し、その時に亡くなったらしい。その死因はヒートショックと思われる。
人間の肉体は、煮詰められると、浴槽の湯をこのような色に変わるらしい。
ヒートショックとは
急な温度の変化により血圧の乱高下や脈拍の変動が起こる事で、特に高齢者には脳出血や脳梗塞、心筋梗塞などの深刻な疾患につながる危険性がある。
特殊清掃の作業内容 |
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その他、弊社が行った特殊清掃の事例写真は「特殊清掃の壮絶な現場写真と強烈な死臭の消臭に掛かる料金総額」でも掲載しています。
特殊清掃の基本的な作業手順
弊社は、故人への供養のためにもしっかりと腐敗臭を消臭できる次の基本手順9つを通して特殊清掃作業をしています。
①害虫の殺虫駆除
警察の検死から入室許可が出た後、悪臭が充満した部屋に入り、最初に取り掛かるのが、害虫の発見と殺虫駆除です。
その理由は、害虫を放置したまま作業をすると、害虫が逃げ出し、腐敗体液を拡散させたり、隣の部屋へ広げてしまうからです。
②異臭元を撤去
次に行うのが、腐敗体液などの汚れが付着している死臭元の養生と撤去です。
異臭元である腐敗した体液や血液は、布団はもちろんですが、畳やフローリングなどの床上にも流れています。
そのため、早めに撤去し片付けておかないと、作業スタッフの靴底に腐敗体液が付着してしまいます。
その靴底で作業中に室内を動き回るため、異臭消臭がより困難になり、キチンとした特殊清掃ができなくなります。
③腐敗した体液の拭き取り除去
腐敗体液がフローリングに流れるなどの異臭元が、撤去・片付けができない場合は、ブラシや洗剤等を使用して丁寧に拭き取って、こびりつく汚れを洗浄除去します。
無論、フローリング継ぎ目や敷居との隙間に入り込んでいる腐敗体液や血痕も慎重に洗浄除去します。
④特殊清掃専用の消臭薬剤と消毒剤を散布
特殊清掃専用に開発された消臭薬剤や消毒剤を散布します。
素人が使用する一般に市販されている消臭剤とは、その消臭力は桁違いに優れています。
因みに、私たちは、その特殊清掃専用の消臭薬剤にさらに独自の塩素系薬品を調合しています。
⑤腐敗臭の消臭を確認
床や壁など腐敗体液が付着していた箇所に、数センチまで鼻を近づけて、腐敗臭が消臭されたかどうかを確認します。
もしも腐敗臭が残っているようなら、何度でも腐敗体液の除去と消臭薬剤の散布を繰り返します。
また床材の中まで染みる腐敗体液が根源で、臭いが再発する恐れがある場合は、独特なコーティング剤を塗布して、悪臭を封じ込めます。
⑥遺品の整理後、搬出
ここまでの工程で、約80%の腐敗臭は消臭されていますが、残り20%の異臭は服やソファ、カーテン、その他生活用品などの遺品に染みつく。
そのため、遺品の仕分けを行いながら、同時に貴重品、貴金属、思い出の品物などの探索や形見分けなどの捜索をして、不要な物はトラックで運搬して、廃棄処分します。
⑦ホコリ掃除
もちろん、電球傘や長押上、換気扇、押入れの中のホコリにも死臭は付いているのでハタキや掃除機で掃除します。
これをうっかり忘れると、原因不明の腐敗臭が残ってしまう事になります。
⑧室内全体に特殊清掃専用の薬剤を散布
床上や壁はもちろんですが、状況によっては天井や窓ガラスなどにも特殊清掃専用の薬剤を散布します。
この際の散布方法は、少量を万遍なく行う事が重要です。
その理由は、あまり多くの薬剤液を噴霧すると、消臭効果が薄れる場合があるからです。
⑨最後にもう一度消臭確認
室内全体の消臭確認を行います。
壁や窓ガラス、押入れの中、ドアの蝶番などできる限りの場所を消臭確認します。
もちろん、お客様との立ち会い前にはもう一度、腐敗体液が付着していた箇所も異臭確認をします。
【注意】原状回復リフォームが必要な場合は?
畳下や敷居の木材部分やフローリング、バスタブ、コンクリートなどの素材内部まで染み込んでいる場合は、特殊清掃だけではいくら消臭してもできない事もあります。
その場合は、部材を剥がすなどの現状回復のための復旧リフォーム工事をするしかありません。ここでは代表的な例を挙げてみましょう。
フローリングなどの木材内部まで浸み込み
原状回復の内容 |
構造的に可能であれば、新しいフローリングや敷居に張り替える。張替えが難しい箇所であれば、塗料などで異臭を抑えこみます。 |
マンション床下コンクリートまで到達
原状回復の内容 |
コンクリート表面だけを砕いて取り除き、表面に新しくコンクリート施工を請け負う。コンクリート粉砕が構造的にできない場合は、そのまま表面にコンクリート用の石膏塗料を塗布して消臭します。 |
特殊清掃は必ず専門業者に任せるべき |
最近では、悪徳なリフォーム工事会社や廃品回収業者、片付け屋までも特殊清掃サービスを提供していますが、下記の理由から、必ず特殊清掃の専門業者に頼む事を強烈にお勧めします。
特殊清掃は専門業者に任せるべき理由の内容は「孤独死の清掃を特殊清掃業者に依頼すべき理由」で、詳しくお伝えしています。 |
特殊清掃の費用相場表
特殊清掃業界古参の弊社ラストクリーニングの料金相場表を提示しておきます。
他サイトのように最低額の特殊清掃料金だけではなく、これ以上費用が掛からない上限金額も分かるよう明朗にしています。
特殊清掃の料金目安表 | |
腐敗体液/汚物撤去 | 25,000円〜200,000円 |
害虫駆除 | 15,000円〜50,000円 |
消臭消毒 | 15,000円〜250,000円 |
総額 | 55,000円〜500,000円 (税別) |
【オプション】オゾン発生機材
オゾン使用条件 | 特殊清掃の完了後に、どうしても原因不明の残臭があり、お客様に伺い、オゾン発生機材の使用を依頼された場合のみ |
金額の目安 | 150,000円/日 |
また特殊清掃と同時にぼほ必須になる故人の遺品整理料金も間取りごとの実際に掛かる目安金額もお伝えしておきます。
形見分けとして貴重品や思い出の品やアルバムやなどの探索/捜索や仕分け梱包など人数分の手間代、それに粗大ごみや残置物の回収処分費用、養生代も下表金額に含まれています。
またラストクリーニングでは、特殊清掃を行った不動産の買取手配など、ご遺族様からの相続相談も事前に頼む事ができます。
遺品整理の料金相場表(税別) | |
ワンルーム | 30,000円〜150,000円 |
1DK | 30,000円〜180,000円 |
1LDK/2DK | 50,000円〜375,000円 |
2LDK/3DK | 90,000円〜630,000円 |
3LDK/4DK | 120,000円〜1,020,000円 |
4LDK/5DK | 150,000円〜1,200,000円 |
因みに、仏壇や位牌・消化器・犬猫屋敷の大量な糞尿などの処分困難物は、別料金になります。
逆に、リサイクル買取・リユース売買ができる家財や家電があれば、上記金額よりも低くなります。
その他、実際に掛かった特殊清掃の料金や金額が不透明になる理由、ボッタクリ被害に遭わない秘訣などについては「特殊清掃が必要なケースと実際に掛かった料金」で、解説しています。
後悔しない特殊清掃業者の選び方
前出の高額な料金表を見られて、極力料金を抑えたいと思い、どんな業者なら後悔しないだろうかと思われていますよね。
以前スマホ検索してみたら、業者数が多くて、一体どの情報を信じて良いのかよく分からなかったのでは?
実は、下記5つの注意点を知っておけば、かなりの高確率で、その業者の優劣を知る事ができます。
- インターネットで数社に候補を絞る
- 問合せ電話をして3社に見積り依頼する
- 見積り時に3社とも消臭方法を尋ねる
- 見積金額などの確認
- 直感or2番目に安い会社に決める
詳しい注意点の内容は「優良な特殊清掃業者の選び方ポイント」で解説していますので、これから特殊清掃を依頼予定の人は、必ずご覧ください。
特殊清掃に関連するQ&A
最後に、電話で頻繁に問い合わせがある質問をQ&A式でまとめてみましたので、参考にしてください。
【質問①】電話で概算料金を知りたいのですが?
お電話で概算料金を知りたい気持ちは分かりますが、可能な限り完全無料の現地見積もりをお願いしています。
何故ならば、現場(遺体が発見された部屋)を見ず、電話聞き取りだけの見積り金額では、実際の料金と大きく異なるケースが多々あるからです。
そんな不明確な見積り金額では、お客様にも私たち業者にもデメリットしかないので、必ず完全無料の現地見積りを依頼するようにしましょう。
【質問②】見積もりは本当に無料ですか?
はい、本当に現地訪問見積もりは、100%完全に無料です。
特殊清掃を依頼されない場合でも、下記のようないかなる名目でも金銭を請求する事は一切ありません。
- キャンセル料
- 訪問料
- 交通費
- 高速代
- 車両費
- 人件費
見積り金額や作業内容に納得できない場合は、遠慮なくお断りしてください。直ぐに挨拶をして引き下がります。
無論、依頼するまで居座ったり勝手に作業をする事は一切ありませんので、安心してください。
【質問③】見積もりや作業は当日緊急に可能か?
当社作業日程の空き状況によっては、電話問い合わせ即日でも現地見積もりや特殊清掃作業は可能です。
また都合の良い日に合わせての見積もりや作業にも対応していますので、気軽にお電話で日程などをお伝えください。
【質問④】異臭を100%消臭できますか?
短期間で部屋に充満した異臭を100%消臭するには「特殊清掃+解体リフォーム」しかありません。
しかし、お急ぎでない場合や99%消臭なら、特殊清掃だけで十分に可能です。
因みに、99%消臭とは、臭気測定器ではわずかに数値が表示されるけど、人間の鼻では全く悪臭を感じない消臭レベルの事です。
ラストクリニーングでは、基本的に高額な解体リフォームを必要としない99%消臭の特殊清掃サービスを提案しています。
【質問⑤】近隣住人に知られずに作業は可能か?
特殊清掃を依頼される主な理由は、孤独死(独居死)と自殺です。そして孤独死や自殺があると、必ず警察の現場検証があり、周囲はざわつきます。
つまり、特殊清掃を依頼される前に、すでに近所の住民は「人が亡くなったのでは?」と勘付いているので、知られずに特殊清掃作業はできません。
特に、戸建てではなくマンションや賃貸アパートなどの集合住宅では、100%近隣住人には知られています。
ただし、ラストクリーニングでは、近隣住人にこれ以上迷惑や苦情にならないよう配慮しながら、常に誠心誠意、遺族に寄り添う気持ちになって特殊清掃作業を行っています。
【まとめ】特殊清掃とは特別な部屋の消臭消毒だった
特殊清掃の「特殊」とは、主に腐敗した遺体で悪臭が漂う特別な環境を指します。そして特殊清掃の「清掃」とは、特別な薬剤を使った消臭消毒を指します。
また別名で「事件現場清掃」と呼ばれる事もありますが、その内容は、特殊清掃と全く同じと思って良いでしょう。
もしも身内の孤独死や自殺などで、特殊清掃が必要になられているのなら、ぜひ弊社ラストクリーニングまでご相談ください。