改葬を検討しはじめたら必ず抑えておくべき6つのポイント

改葬

最近は身体の衰えから足腰が悪くなり、遠方までの墓参りが辛くなり、改葬しなければ、墓守や墓参りができなくなるのでは…とお考えではありませんか。

でも改葬ってしたことがないので、すごく不安ですよね。

そこで、この記事では改葬の基礎知識として、絶対に必要になる改葬時のの書類3つとその手続き方法、費用目安などをお伝えしていますので、ぜひ参考にしてください。

改葬とは

一度埋葬した遺骨や墓石などを他の墓地や霊園、納骨檀などに移して葬り直すことです。分かりやすくいいますと、遺骨や墓の引越しです。

改葬は、厚生労働省が定める墓地埋葬法により制限されているので、誰でも勝手に改葬したりして、どこにでも引越しできるわけではありません。

引越し先は、墓地埋葬法で定められた場所に限りますので、引越し先を自宅にすることはできません。また次項目でお伝えする書類の取得が必要になります。

改葬にはこの書類3つが必要になる

まずは、改葬に絶対必要になる3つの書類についてお伝えします。

① 受入証明書(永代使用許可書)

引越し先である墓地や納骨堂などで、遺骨の受入証明書を発行してもらう必要があります。

なぜならば遺骨の引越し先が確認できないと、墓地埋葬法で定められている改葬に必要な改葬許可証が発行されないからです。

② 埋葬証明書(納骨証明書)

引越し元である現在遺骨が埋葬されている寺院などで埋葬証明書を発行してもらう必要があります。

なぜならば改葬は遺骨の引越しなのですから、キチンと遺骨の存在を証明してもらうわけですね。

③ 改葬許可証

改葬の許可を出しているのは市区町村になります。

上記の受入証明書と埋葬証明書を添付して改葬許可申請書を役場に提出し、改葬許可証を発行してもらいます。

墓地埋葬法では、改葬するには絶対に改葬許可証を遺骨引越し先に提出する必要があります。

改葬の手続き方法と注意点

ここでは、墓地付きの墓から同じく墓地付きの墓へ改葬するときの一般的な手続き方法をお伝えしています。

①引越し先である新しい墓地の取得

遺骨の引越し先を取得してその墓地管理者から「受入証明書=永代使用許可書」を発行してもらいます。

注意点①

引越し先の墓地使用者以外が改葬申請を行なう場合は、引越し先の墓地使用者からの「埋蔵承諾書」が必要になります。

【例】お嫁さんが嫁ぎ先の墓に一旦埋葬した遺骨を、実家の墓に遺骨を移したい場合など

②現在遺骨がある墓地での手続き

現在遺骨を埋葬してある墓地の管理者に「埋葬証明書=納骨証明書」を発行してもらいます。

その証明書に決まった形式はありませんが、埋葬されている遺骨氏名、墓地使用者、墓地管理者の署名と押印が必須項目になります。

注意点②

引越し元である現在遺骨が埋葬されている墓地使用者以外が、改葬許可の申請を行なう場合は墓地使用者の「改葬承諾書」が必要になります。

もしも墓地管理者が不明な場合は、市区町村に調査をお願いできるようです。

③市区町村役場で改葬許可の申請

現在遺骨を埋葬してある墓地の市区町村役場で改葬申請を行います。

改葬許可申請書に必要事項を記入し、「受入証明書=永代使用許可書」と「埋葬証明書=納骨証明書」を一緒に提出すれば、「改葬許可証」を発行されます。

なお改葬許可申請書は遺骨1つに付き1枚必要で、改葬許可証には手数料がかかる場合があります。

④墓地から遺骨上げ

現在の墓地から遺骨を取り出す際には、僧侶などに依頼してお経を上げてもらいます。これを閉眼供養といいます。

その後石材店に依頼して遺骨を拾い上げてもらいます。また現在の墓地を今後使用しないのであれば、墓地を取得した時の状態(更地)に戻すことが必要です。

僧侶によるお経、石材店による遺骨上げ、更地に戻すなどは、それぞれに費用が掛かります。詳しい金額などは次項目でお伝えしています。

⑤新しい墓地での改葬

遺骨引越し先の墓地管理者に「改葬許可証」を提出して埋葬を行います。

埋葬前に、僧侶などに依頼してお経を上げてもらいます。これを開眼供養といいます。

その後、実際の埋葬は石材店に依頼し、改葬は終了します。

改葬に掛かる費用目安

ここでは、一番費用が高くなりそうな墓地のある墓→墓地のある墓への改葬を例にして、総額目安とその項目ごとにその金額目安をお伝えします。

改葬費用の総額目安 200万円~300万円

必要書類の発行手数料

埋蔵証明書 300円~1,500円
改葬許可証 0円~1,000円

寺院関係のお布施など

閉眼供養 1万円~5万円
開眼供養 1万円~5万円
離壇料 10万~20万円

※その他、宗派が変わる場合は、戒名料が必要になることがあります。

遺骨上げ・埋葬の費用

遺骨上げ料 0円~4万円
埋葬料 0円〜3万円

※墓石処理や墓地整理が伴う場合は、0円になることがあります。

墓石の運搬

墓石の運搬費用 20万円~80万円

※もちろん新しく墓石を購入する際は不要です。

墓石撤去・墓地の更地

墓石の撤去費用
墓地の更地費用
10万円~15万円/㎡

※石材店は指定業者になっている事が多いようです。
※そのまま墓を使用される場合は不要です。

改葬をする3大理由

この項目では、近年改葬が増加しているその主な3つの理由をお伝えしています。

【理由①】墓参りの負担を少なくするため

引越しや結婚などで、今の住まいから墓までの距離が遠くなっていると、墓参りに大きな負担が掛かるものです。

また高齢化に伴って墓参りをする人の体力低下もありますので、近くの霊園や納骨堂に改葬する人が増えているようです。

【理由②】供養墓に遺骨を移すため

跡継ぎがいないまたは家族に墓守などの負担を掛けたくないために、墓掃除や管理費用などが必要ない永代供養墓へ改葬する人が多くなっています。

【理由③】墓を1つにまとめるため

以前は親族が多くいたので墓も多数必要だったが、近年の少子化によって親族の人数も減り、多くの墓は必要でなくなってきています。

そのため、墓守などの費用や墓参りの負担を考慮して、1つの墓に遺骨をまとめられる人が増加しているようです。

よくあるトラブル

ここでは、改葬をする際によく耳にするトラブル3つをお伝えしています。未然にトラブルを避けるためにもぜひ知っておきましょう。

【トラブル①】寺院が埋葬証明書を発行しない

改葬するということは、見方を変えればその寺院の檀家を止めることでもありますよね。

そうなると、寺院はお布施等が減るので改葬自体を断念されるために、改葬に必要な埋葬証明書を発行してくれないことがあるようです。

対策

改葬をすることが決定したら、最初に寺院に相談しましょう。その際はまずは常日頃お世話になっていることのお礼をいいます。

その後タイミングを見ながら、なぜ改葬をしなければならないのかをキチンと伝え、切実な態度で接し快く快諾してもらえる環境を整えることが大切です。

【トラブル②】墓石の撤去費用が高い

ほとんどの寺院では、お抱えの石材店があります。その影響でどうしても墓石の撤去費用が高くなりがちです。

稀ですがその石材店の中には、わざと土台部分を残したまま作業を終え、苦情が入ると「土台部分を解体する費用は別になる」と高額請求してくる非常に悪質なケースもあるようです。

対策

改葬をすることが決定したら、寺院の次にすぐに石材店を訪ねましょう。

墓石の撤去や遺骨上げなどで少しでもわからない点があれば、教えを請うような低姿勢で頻繁に石材店を訪ね、担当者と仲良くなることが大切です。

なぜならば、どの道その石材店でしか墓石の撤去などを依頼できないのですから、担当者の機嫌を取るしか対策方法はありません。

【トラブル③】高額な離檀料を請求される

悪質な寺院の中には、埋葬証明書の発行後に高額な離檀料の請求してくるケースもあります。

国民生活センターに寄せられたトラブルには、離檀料が700万円と記載されています。

国民生活センターURL:https://www.kokusen.go.jp/

対策

実は、法律上では離檀料を払う義務はありません。参照URL: http://kaisou.aikotoba.jp/

そのため、納得のできない高額な離檀料を請求されたら拒否すればおしまいなのですが、今まで墓を管理し先祖を供養していただいたのですから、気持ちばかりのお布施をお渡しするのがいいでしょう。

そして、何よりも普段から年に一度でもいいから寺院に足を運び、僧侶との人間関係を保つことが高額な離檀料を防ぐ方法ではないでしょうか。

まとめ

この記事では、改葬の基礎知識に加えて改葬をする理由とよくあるトラブルなどもお伝えしましたが、参考になったでしょうか。

この記事を読まれたことで少しでも後悔しない改葬になることを祈っています。

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