親族の死亡に伴い、遺品を整理しなければならないが、業者に依頼すると何らかのトラブルになるのでは…と、お考えではないでしょうか。
特に、はじめて遺品整理される人にとってはそのように思われるのも無理はありません。
そこで、この記事では「遺品整理トラブル事例」「その最新手口」「トラブル回避方法」などをお伝えしていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
代表的な遺品整理業者とのトラブル事例
ここでは、私が電話受付でお聞きした内容で、特に多かった遺品整理業者とのトラブル5つをお伝えします。
業者に電話する前にこれらを知っておけば、少しは遺品整理トラブルに遭う可能性が低くなるのではないでしょうか。
【トラブル①】ボッタクリ請求・追加費用
一般の人が遺品整理をしなければならない状況は、そうそうあるものではありません。
そのため遺品整理の費用相場もあまり把握されていません。そのことを悪用してボッタクリ金額を請求する業者がいます。
また事前見積りでは他業者より安かったのに、遺品整理作業後に適当な理由をつけて、高額な追加費用を請求する事例もありました。
事例:増額幅
事前見積り金額 30,000円
↓
作業後の請求金額 120,000円
増額の理由 | ・想像より遺品量が多かったから ・待ち時間が長くなったから ・処分困難物があったから(金庫や消火器など) |
【トラブル②】不法投棄
激安業者によくあるトラブルがこの不法投棄です。遺品の処分費や手間を省くために、遺品整理を行なったその帰りに山中や川底に投棄する業者もいるようです。
不法投棄が発覚し、遺品に個人情報などがあれば、あなたに連絡が来てトラブルに巻き込まれる事例もあります。
最悪の場合、業者の連絡先が不明だと、あなたが不法投棄を行なったと見なされることがあります。
業者に遺品整理を依頼したら、必ず領収書や名刺などを保管しておきましょう。
【トラブル③】リフォームの強引な薦め
これは特に賃貸住宅の遺品整理時によくあるトラブルです。低金額を提示し、遺品整理で困っている人を誘い込み、後からいかにもそれらしい理屈を述べて高額なリフォームを強引に薦めるという事例です。
私の経験から言えることは、特殊清掃が必要な場合を除き、リフォームが必要になる遺品整理は、まずないと思っていいでしょう。
なぜならば、遺品整理は遺産整理ではないのですから。もしも遺産整理でリフォームが必要ならば、リフォーム業者に依頼することをおススメします。
【トラブル④】貴重品も処分してしまう
意識的か無意識かは不明ですが、遺品の中に隠れている通帳や貴金属、現金なども一緒に整理され、処分されてしまう事例があります。
その原因は、遺品整理の作業ノウハウが乏しいからと思われます。このトラブル被害は、真の遺品整理専門業者に依頼することで低減できるでしょう。
【トラブル⑤】雑な作業で近所迷惑
不用品回収も兼業している業者によく見られるトラブルは、近所に迷惑を掛けてしまうことです。
普段は不用品ばかりを扱っているので、どうしてもその延長線で遺品整理の作業を行なってしまいます。
その作業振りは、大きな音を立ててトラックに遺品を投げ入れたり、マンションの共用部分にホコリを散らかしたりなどがあります。
また遺品を不用品として扱うので、遺族である依頼者の心情も逆なでする作業も行いがちです。不用品回収も兼業している業者は要注意です。
最新の悪質なトラブル業者の手口は劇場型です
ここでは、この2年~3年で急速に目立ちはじめている劇場型の悪質なトラブル業者の手口をお伝えします。
非常に手が込んでいる手口なので、我々も出始めは優良業者と勘違いしてしまいました。
資格取得やTV放映実績で安心させて高額請求トラブル
遺品整理業界独自の民間資格を取得したり、TV番組制作会社の都合で依頼され、テレビ放映されたことで、優位性を過剰に演出します。
そして、自分たちで自分たちを自画自賛して、あたかも市場的に自社に高い価値があるように見せかけることで、高額な請求をする業者が、近年たくさん出現しはじめました。
しかし、そんなものにほとんど価値がないのが現状です。詳しくは「 遺品整理師の資格を取得してもそのメリットは少ない」でその実態をお伝えしています。
第三者機関を装って近づき再びトラブル被害に遭わせる
あたかも公的な第三者機関のようなホームページを作成して、中立的な業者としてあなたに近づきます。そして安心して相談したらお仕舞いです。
あの手この手の手法や巧みな話術で、結局はトラブル被害に見舞われます。詐欺業界では常識の「一度詐欺に遭った者は、また詐欺に引っ掛かりやすい」のことわざをそのまま実行している最も悪質な業者の可能性があります。
もう一般の人が悪質なトラブル業者にちょっとでも接触したら、どんなに注意してもたちまちその手口にはまってしまいます。
親族間でも遺品整理トラブルは発生します
では、次は簡単にですが、親族間における代表的な3つの遺品整理トラブルのケースをお伝えしますね。
【ケース①】財産の抜き取り疑惑
遺品整理のために、他の親族より先に故人の部屋に入ってしまうと、場合によっては、現金や貴金属類を黙って持ち出したのではないか?と疑われてトラブルになる事があります。
特にお金回りがよかった親族が亡くなった場合に、このトラブルは頻発しています。
よって、今後のお付き合いも考慮すれば、必ず他の親族全員から了解を得てから、故人部屋に入室するようにしましょう。
【ケース②】整理作業の日数分担
特に、一軒家丸ごとの遺品整理でかつ親族が遠方の場合に、具体的に「誰がいつ、どれぐらいの時間を遺品整理するのか?」また「誰がどの範囲まで責任を持って整理するのか?」などでトラブルになる事があります。
それぞれに生活があり都合もありますので、なかなか折り合いが付かず、結局は一番近い親族に丸投げして、後々に遺恨を残してしまう事もあるようですね。
また持ち家の場合は、一向に遺品整理の作業日程が決まらずに、何年間もそのまま遺品が放置されてしまう事もしばしばあります。
【ケース③】掛かった費用の振り分け
仮に、親族だけで遺品整理を行なっても下記のような最低限の費用は掛かります。
- 粗大ゴミの運搬と処分の費用
- 不燃ゴミや可燃ゴミの処分費用
- 気付いていない定期サービスの料金
- 水道光熱費の基本料金
- 固定資産税など
多くの場合は、一旦親族の誰かが仮払いをされるのですが、その領収書をしっかりと保管していないと、「本当にそんなに費用が掛かったのか?」疑われて、清算の際にトラブルになる事もあります。
では、トラブルに遭わないようにするにはどうすればいいのでしょうか。
トラブル回避の方法はたった1つしかない
それは、自分の目利き力を身につけて悪質なトラブル業者とは一切接触を持たないことです。接触には電話だけの問合せも含みます。
そのためには、はじめの業者選びの段階が一番重要なのです。すなわち「トラブル回避方法=業者選びを間違わない」ということに尽きます。
実際に、業者選びを間違わないようにするには「遺品整理のプロが語る悪徳業者の特徴と卑劣な手口と体験談」で、詳しくその具体的な方法をお伝えしています。
起こってしまった遺品整理トラブルの解決方法
この項目では、すでに起こってしまった遺品整理業者や親族とのトラブル解決方法を3つお伝えしています。
しかし、いずれの方法もスッキリと解決できるわけではありません。
必ず時間や手間、費用が掛かってしまいますので、できれば未然にトラブルを防止するように心掛けましょう。
【解決方法①】話し合いの場を持つ
一番理想的な解決方法は、当事者間で話し合いをして折り合いをつけることです。
相手が悪質なトラブル業者の場合は、一筋縄ではいきませんので、息の長い話し合いが必須と見ていいでしょう。
この解決方法が最も難しいと思われますが、しかし折り合いがつけば時間や手間は掛かりますが、一番費用の掛からないトラブル解決方法です。
【解決方法②】第三者機関への相談
以下の第三者機関への相談してみてください。もしかしたら何らかの解決の糸口が見つかるかもしれません。
国民生活センター |
消費生活・消費者問題に関する事例や対処方法を紹介しています。 |
消費者庁 |
さまざまな消費生活についてご相談できます。 |
暮らしの相談窓口のご案内 |
内閣府の中にあります。様々な悩み事についての相談先がまとめてあります。 |
消費者相談室 |
経済産業省のページです。消費者取引に関する消費者からの相談を受け付けています。 |
財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター |
リフォームに関する様々な相談事例があります。 |
住宅ホームページ(国土交通省) |
住宅に関する様々な情報が掲載されています。 |
住まいの情報発信局(住宅情報協議会) |
住宅関連の中立性、信頼性のある情報が掲載されております。 |
注意事項
ただし遺品整理を専門に扱っている公的な第三者機関は、私が知っている限りでは存在していません。
そのため、ただ単に受付け登録だけで「なしのつぶて」で終わってしまうのが、関の山かもしれません。
なぜならば、業者の場合、遺品整理行為は、まだ法的に未整備でキチンとした法的解釈が得られていないからなんです。
業者による遺品整理は、法的にどの部類にも当てはまらないので、公的な第三者機関ではアドバイスのしようがないのが現状では…と思われます。
【解決方法③】弁護士や行政書士に依頼
一番解決率が高いのが、弁護士や行政書士の介入による方法です。ほとんどの場合は、あなたに有利な解決結果になるでしょう。
しかしご想像通り、弁護士費用等は結構な額になります。特に遺品整理トラブルは、弁護士や行政書士からみると、遺産相続関係の案件依頼になるので、より高額になる傾向にあります。
また弁護士や行政書士にも高額請求するものもいます。先生だから安心してはいけません。
依頼者にいくらかの遺産が相続されるのをある程度承知しているので、それを見越して費用を上乗せする弁護士や行政書士がいます。
弁護士や行政書士といえども業者は業者ですから、気をつけましょう
つまり・・・
トラブルになってしまったら、大なり小なり、必ず手間や費用が掛かってしまうことは覚悟しましょう。
もう一度言いますが、遺品整理業者のトラブルに巻き込まれないためには、焦らずにしっかりと見極めてから業者を選ぶしかありません。
そして、親族間では、遺品整理をはじめる前に、しっかりと打ち合わせの場を設ける事に尽きます。
遺品整理の費用目安
ここでは、個人で行なう場合と業者に依頼した際の遺品整理の費用目安をお伝えしています。
個人での遺品整理の費用目安
ワンルーム | 8,000円~20,000円 |
1DK | 10,000円~30,000円 |
1LDK/2DK | 15,000円~40,000円 |
2LDK/3DK | 30,000円~50,000円 |
3LDK/4DK | 35,000円~70,000円 |
4LDK/5DK | 45,000円~90,000円 |
- レンタカー代やガソリン代、高速費用、手間代は含まれていません。
- 基本的に遺品の処分費用の金額です。
- 遺品の量により、どうしても大きな金額幅があることはご了承ください。
業者による遺品整理の費用目安
ワンルーム | 33,000円〜165,000円 |
1DK | 33,000円〜198,000円 |
1LDK/2DK | 55,000円〜412,000円 |
2LDK/3DK | 99,000円〜693,000円 |
3LDK/4DK | 131,000円〜1,122,000円 |
4LDK/5DK | 165,000円〜1,320,000円 |
- 遺品処分費や運搬費、作業費などを含む実際にお支払いされる総額を提示しています。
- 金額に大きな幅がある理由は「遺品の量」「分別作業の程度」「階数・エレベーター有無」「トラック車両までの距離」などの違いがあるからです。
- 部屋や遺品の状況によっては、上記金額を大きく超えることもあります。(例)ゴミ屋敷や孤独死など
1円でも安く遺品整理を業者に依頼したい人は「遺品整理の費用に違いがある5つの理由と悪徳業者の見分け方」で、その具体的なことを詳しくお伝えしています。
まとめ
代表的な遺品整理時のトラブルとその最新手口、回避方法をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
近年、トラブル業者の手口は、巧妙かつ悪質になってきているので、念には念を入れて業者選びは慎重に行ないましょう。