孤独死発見から遺体処理までの流れと特殊清掃費用|孤独死と孤立死の違い

親族や身内が孤独死してしまった場合に、その後の遺体の処理ってどんな風になるのだろうか?と思われていますよね。

もしかして普通に亡くなった場合と違って、遺体処理に特別な手続きや高額な費用が掛かるのでは…と、はじめての経験なので不安になっているのではありませんか。

そこで、このページでは、孤独死清掃を生業にしている特殊清掃業者の立場から、孤独死発見から遺体処理までの流れと孤独死があった部屋の清掃に掛かる費用目安をお伝えしています。

孤独死発見から遺体処理までの流れ

まずは、部屋で孤独死が発見されてから遺体の処理が終わる埋葬までの流れを説明していきますね。

親族や身内が孤独死された人には、この流れを知っておかれると、心的負担が少しは軽減されるのではないでしょうか。

流れ①:部屋で孤独死を発見したら警察に通報

一般社団法人日本少額短期保険協会が公開しているレポートでは、孤独死の発見に至るきっかけは主に下記4つがあるようです。

  • 当人と音信不通になり訪問
  • 腐敗臭などの部屋の異常
  • 家賃の滞納
  • ポストや新聞受けの滞留

また遺体の第一発見者になる人は下記の人たちで99.7%も占めていると報告されたいます。

  • 賃貸部屋の管理人(27.1%)
  • 家族や身内(21%)
  • 介護福祉関係者(18.1%
  • 友人(13.7%)

このようなきっかけ4つで孤独死が発見されて、上記の第一発見者が110番をして警察に孤独死があったことが通報されます。

流れ②:検死のため警察が遺体を引き取る

通報を受けた担当警察署の鑑識が孤独死があった部屋へに行き、現場検証を行います。基本的に孤独死は変死扱いになるので、事件性の有無を確認するために必ず現場検証が行われます。

そして、孤独死の場合は死因を特定するために、通常遺体は警察へ引き取られて検死が行われます。

ただし、自宅での孤独死でも元々深刻な病気持ちで、かかりつけの医者が診断して死因が分かっている場合は、検死が行われないケースもあります。

検死の結果、孤独死のほとんどは事件性なしと判断されるので、遺体は遺族の元に返されます。

因みに、孤独死された人の親族や相続人がいない又は見つけられない限り、警察が遺体を処理することはありません。

流れ③:葬儀会社に遺体は搬送される

公にはされていませんが、地域の警察署と繋がりがある葬儀会社から遺体引き取りの了承を確認する電話連絡が入って、了承すれば警察からその葬儀会社に遺体は搬送されます。

無論、懇意にしている葬儀会社があれば、そちらに遺体を搬送することに何の問題もありませんし、追加で費用が掛かることもありません。

この時に、葬儀会社の担当者が火葬や埋葬などの遺体処理に必須な死亡届の提出の手伝いや代行をしてくれます。

流れ④:葬式を終え火葬後にお骨を安置

孤独死した人だからといって、特別に異なった形式で葬式をするわけではありません。下記のような一般的な段取りで葬式を行います。

【一般的な葬式の流れ】
  1. 納棺
  2. 通夜
  3. 告別式
  4. 出棺
  5. 火葬

ただし孤独死されたってことは、人間関係が非常に希薄だった人が多いので、本当に親交があった遺族だけで、ひっそりと葬式が行われるケースが多いようです。

少なくても大々的に親族や知人、友人に告知して葬式が行われることはないでしょう。そして無事に火葬まで終えると、骨壷に収骨して遺族の元に安置します。

流れ⑤:四十九日が終えたら墓地に埋葬

安置された遺骨は、一般的には四十九日の法要が終えたら墓地に埋葬して遺体の処理は完了となります。

もしも墓地がない場合は、寺院や霊園の納骨堂などに納骨します。

流れのまとめ

ここまでに、孤独発見から遺体処理の完了までの流れをお伝えしましたが、普通の自然死と大きく異なる点は、警察の鑑識による現場検証と検死の有無だけです。

身内の孤独死ってことで、その驚きと警察への対応などで心的負担はどうしても避けられないと思います。

しかし多くの場合は、事件性無しと判断されるので遺体の処理までで、煩雑になる特別な手続きがないことは知っておいてください。

自宅で孤独死があった時の特殊清掃の費用事例

無事に火葬まで終えると、埋葬までは日にちがあるのでひと息つけるのですが、その後にしなければいけないことに、孤独死があった部屋の清掃や片付けなどがあります。

しかし、孤独死の発見が遅れて遺体が腐食している場合は、その強烈な死臭と腐敗体液の痕跡から、親族や身内が部屋の掃除や片付けをするのはほぼ困難でしょう。

そこで、そういったケースの孤独死の場合は、孤独死の処理屋である特殊清掃業者に部屋の清掃や片付けを依頼されるのが一般的です。

ということで、この項目では、まずは特殊清掃の費用目安となる基本的な料金内訳をお伝えしますね。

基本的な特殊清掃料金の内訳

汚染物の除去 27,500円〜220,000円
害虫駆除 16,500円〜55,000円
消臭除菌 16,500円〜275,000円
最大合計額 60,500円〜550,000円
  • 遺体発見までの日数や亡くなった箇所、腐乱状態等によってどうしても金額に大きな幅があることはご了承ください。
  • 原状回復リフォーム費用と解体費用は含まれていません。
  • 家具の処分などの遺品整理料金は含まれていません。

続けて、孤独死の遺体があった部屋内の場所ごとに、実際に私たちが特殊清掃を行なった時に、依頼者様から頂いた料金金額の事例を挙げていきますね。

【孤独死の遺体場所①】風呂場

孤独死された人 68歳の男性
依頼者 亡くなった人の子供
遺体発見の日数 死後約2〜3週間
特殊清掃の内容 ・腐敗体液水の回収
・腐敗体液の除去
・消臭剤と消毒剤の噴霧
・排水溝の清掃
作業時間 約4時間30分
死臭の強度 約70%
特殊清掃の料金 318,000円 ※総額/税別

【孤独死の痕跡場所②】トイレ

孤独死された人 72歳の男性
依頼者 亡くなった人の弟
遺体発見の日数 死後約1ヶ月半
特殊清掃の内容 ・腐敗体液付着の汚染物撤去
・腐敗体液の除去
・消臭剤と消毒剤の噴霧
・排水管内部の清掃
作業時間 約7時間
死臭の強度 約75%
特殊清掃の料金 389,000円 ※総額/税別

【孤独死の痕跡場所③】フローリングの上

孤独死された人 47歳の女性
依頼者 亡くなった人の兄
遺体発見の日数 死後約2ヶ月
特殊清掃の内容 ・腐敗体液付着の汚染物撤去
・髪の毛や血溜まりの回収
・腐敗体液の除去
・消臭剤と消毒剤の噴霧
作業時間 約4時間30分
死臭の強度 約65%
特殊清掃の料金 285,000円 ※総額/税別

【孤独死の痕跡場所④】畳の上

孤独死された人 50代の女性
依頼者 亡くなった人の親族
遺体発見の日数 死後約1週間
特殊清掃の内容 ・周辺にあった遺品の処分
・畳の回収処理
・畳下の地板の腐敗体液の除去
・部屋全体の消臭剤と消毒剤の噴霧
作業時間 約1時間30分
死臭の強度 約45%
特殊清掃の料金 195,000円 ※総額/税別

【孤独死の痕跡場所⑤】ベッドの上

孤独死された人 58歳の男性
依頼者 亡くなった人の子供
遺体発見の日数 死後約3週間
特殊清掃の内容 ・腐敗体液付着の汚染物撤去
・部屋全体への消臭剤と消毒剤の噴霧
・ベッド本体の回収
作業時間 約1時間
死臭の強度 約55%
特殊清掃の料金 178,000円 ※総額/税別

【孤独死の痕跡場所⑥】台所

孤独死された人 40代の男性
依頼者 部屋の管理会社
遺体発見の日数 死後約2週間
特殊清掃の内容 ・腐敗体液付着の汚染物撤去
・クッションフロアの回収
・フロア下の腐敗体液の除去
・部屋全体への消臭剤と消毒剤の噴霧
作業時間 約6時間30分
死臭の強度 約70%
特殊清掃の料金 409,000円 ※総額/税別

遺品整理の処理費用が掛かる場合もある

遺体発見までの日数や孤独死された人の体質によっては、部屋に充満する死臭の量や強さが異なっていて、遺体があった周辺だけでなく、住まい全体の遺品に死臭が染み付いていることもあります。

その場合は、遺品も整理して処理しなければ、部屋から死臭が消えることはありません。というわけで、遺品整理に掛かる処理費用の目安もお伝えしておきますね。

1R 33,000円〜165,000円
1DK 33,000円〜198,000円
1LDK/2DK 55,000円〜412,000円
2LDK/3DK 99,000円〜693,000円
3LDK/4DK 131,000円〜1,122,000円
4LDK/5DK 165,000円〜1,320,000円
  • 遺品処理費や運搬費、作業費などを含む実際にお支払いされる総額を提示しています
  • 金額に大きな幅がある理由は「遺品の量」「分別作業の程度」「階数・エレベーター有無」「トラック車両までの距離」などの違いがあるからです
  • 部屋や遺品の状況によっては、上記金額を大きく超えることもあります。(例)ゴミ屋敷や孤独死など

孤独死と孤立死の違い

最後に、孤独死に似ている言葉に孤立死というものがありますが、その両者の違いについて少し言及しておきますね。

孤独死とは

死に関するネット情報を集めてみて要約すると、下記のような状況で亡くなることが孤独死と言われているようです。

❶ 誰にも気づかれずに一人きりで死亡することで、主に独居者が疾病などで助けを求めることなく急死し、日数が経過してから見つかる場合。

❷ 主に一人暮らしの人が誰にも看取られることなく、住宅内で突発的な疾病などによって死亡することで、病気が重篤化しても助けを呼べず亡くなる状況。

孤立死とは

一方、孤立死についてのネット情報を集めてみると、下記のような記述がありました。

❶ 地域社会との繋がりを持たない状態で死に、死亡した事実が長期間誰にも気付かれなかった場合。

❷ 社会から孤立した状態で亡くなり、その死亡が長期間気づかれないこと。

実は両者の実態はほぼ同じ

私なりに上記4つの意味の違いを考えてみたのですが、見当も付きませんでした。

それに孤独死と孤立死ともに、明確な定義もないという情報も多数見つかったので、私はこの両者には決定的な違いはないと判断しました。

例えるならば、「友達」と「友人」のような言葉が違うだけで、同じ人を指すようにですね。
強いて違いを挙げれば、各人の死に至った背景や社会的な意味合いに重みを持たせるために、孤独死と孤立死の両者を使い分けているのではないでしょうか。

まとめ

このページでは、孤独死発見から遺体処理の完了まで流れと特殊清掃の費用事例、それに孤独死と孤立死の違いについて言及しましたが、少しは不安の解消になったでしょうか。

身内の孤独死という一生に一度あるかないかの衝撃的な出来事に対面して気が動転されていると思いますが、このページを読まれて少しでもお力になれたのでしたら幸いです。

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