孤独死した親族の遺品整理の具体的な方法とお客様の失敗談

身内が孤独死してしまい、まだ気が休まることのない日々を過ごしている最中に遺品の整理をして欲しいと言われ、お困りなのではないでしょうか。

とても辛いお気持ちとは思いますが、ご近所迷惑にならないためにも何か手立てをしなければなりません。

この記事では、孤独死があった部屋の遺品整理をされる前に、はじめに特殊清掃をすべき理由と遺品整理の方法や孤独死に伴う死臭消臭についてお伝えします。

またその業者料金の目安も掲載していますので、参考にしていただければと思います。

目次

孤独死部屋の片付けで後悔した体験談レポート

はじめに、孤独死があった部屋の片付けを遺品整理業者に依頼されて、後悔された体験談レポートを3つ挙げてみました。

【レポート①】まだ死臭が部屋中に漂っている

見積もり時に部屋を確認すると、さすが遺品整理専門者に依頼されたとのことなので、荷物はもちろんのこと、水回り箇所も綺麗に片付けられていました。

しかし、部屋には何とも言えない臭いが残っていて、それがどうしても気になって、作業後に遺品整理業者に相談されたとのことでした。

遺品の整理には満足されていたようですが、遺品整理業者の担当者曰く、あくまでも遺品整理業者ですので、死臭の消臭はサービス外とのことで対応してもらえなかったようで、私たちに特殊清掃の依頼をされたようです。

確かに、孤独死があった部屋にはまだ鼻を刺すような死臭がわずかに残っていたので、死臭専用の消臭剤を用いて作業を行いました。

無論私たちは特殊清掃業者なので、今回は死臭の発生元の特定が難しく時間が掛かりましたが、部屋はほぼ無臭になりました。

遺族との関係性

亡くなった妹とはすごく仲が良かったので、まだその部屋に妹が彷徨っているようでやり切れない気持ちになられていたようです。

こんなことなら、もっと独り身の妹と頻繁に連絡をするようにしておけばよかったと後悔されていました。

死臭の消臭とともに、妹さんもあの世に旅立ったような気がして、ちょっとだけ気持ちが前向きになられたようです。

【レポート②】高額な処分料金を追加請求された

遺品整理を依頼して数日後、担当者より次のような電話連絡があったとのことでした。「この部屋では人が亡くなっていますよね。その場合は追加料金が発生しますので請求されてもらいますね。」

請求書を見ると、なんと特殊作業のオプション代として50万円も追加で請求されたとお電話で相談されました。

私たち特殊清掃の立場からすると、いかに言っても50万円は高過ぎですし、仮にそんな高額な追加請求をするぐらい死臭が多かったのなら、一般の作業者が室内で作業ができるとはとても思えません。

私も以前に遺品整理をメインにしている時期があったのですが、ゴミ屋敷みたいなケースも少なからずあるので、そんな高額請求するほどの清潔感が満載の遺品整理業者はまずいないでしょう。

きっと高級な遺品が多かったため、ダメ元で高額請求している悪質な遺品整理業者ではと思われます。

遺族との関係性

ほとんど会ったことがない親戚の孤独死だったので、とてもそのような高額な料金を払う気持ちになれずに今も遺品整理業者と交渉中のようです。

確かに縁遠い亡くなった親戚のために、50万円は払いたくない気持ちになるのは分かりますが、人が亡くなっていることを伝えなかった相談者にも多少落ち度はあると思うので、全く追加請求無しってわけにはいかないでしょう。

【レポート③】勝手に床を解体されてリフォーム代が掛かった

遺品整理が済んだがちょっと相談があるとの連絡があったので、まだ死臭が残っているのだなと思って部屋を確認しに行くと、遺体が横たわっていた床部分だけが解体されていました。

びっくりしてその事情を聞くと、不衛生で作業がしにくいので、遺品整理業者が腐敗体液が付いている床を解体して取り除いたとのことでした。

確かに孤独死部屋の清掃経験があまりない遺品整理業者からすると、今回のような一部解体をしたくてなる気持ちは分かりますが、それなら前もって依頼者と大家さんに了解を得てから行うのが、まともな業者ですよね。

こういう一部解体しても、無論まだ部屋には死臭が残っているので、特殊清掃の費用が追加で掛かってしまいます。

事後報告されて一応は納得したが、後で大家さんに高額なリフォーム代を払う羽目になり、こんなことだったらはじめから遺品整理も特殊清掃業者にお願いすべきだったと言われていました。

遺族との関係性

孤独死したのは資産家の義理父親だったので、リフォーム費用は一旦私が払って、後で遺産をお金に変えて事なきを得ましたが、実質的には、妻を含む相続人3名で費用を負担しているので、それだけ相続額が減ったことになります。

血の繋がりがない私は、全く負担を強いられることはなかったですが、妻はちょっぴり後悔しています。しかし今は供養代だったと思ってあまり気にしていないようです。

孤独死の遺品整理前に特殊清掃が必要な3つの理由

次に、孤独死があった部屋の遺品整理をされる前に、はじめに特殊清掃をすべき理由3つを挙げています。

因みに特殊清掃とは、孤独死や自殺があった部屋を消臭清掃をする専門業者のことです。その作業内容は、あとでこの記事内で詳しくお伝えしています。

【理由①】親族の死臭に耐えられずとても遺品整理できないから

人間の肉体が腐敗した臭いは、場合によっては、とても強烈な悪臭でインパクトがあります。

人によってはトラウマになってしまい、数週間、うつになり体調を悪くされる人もおられます。

まして、自分の親族となると、まともな精神状態を保たれず、とても遺品整理どころではありません。部屋に入ることでさえ拒絶反応を示されることもあります。

【理由②】遺品にも孤独死の臭いが付いていて整理を躊躇するから

風呂やトイレで孤独死があった場合、居間やキッチン、玄関などは、見た目はごく普通のお部屋です。

そして冬場など気温が低い季節だと、あまり強烈な腐敗臭が発生していないこともあります。

しかし特に布製の遺品には孤独死の腐敗臭が付いていることが多く、鼻を近づけると、独特の死臭がします。そんな遺品を手に取ることは、一般の人であれば躊躇されるに違いありません。

【理由③】一般の人が遺品整理するとどうしても臭いが広がってしまうから

孤独死で腐敗した体液は、ほんのわずかな量でも強烈な悪臭を放ちます。

そのため、はじめに特殊清掃で100%腐敗体液を除去していないと、遺品整理の作業により、靴底や手袋、ビニール袋などから、部屋全体に微かな腐敗体液をまき散らしてしまいます。

そうなると、一般の人はもちろん、我々のような特殊清掃業者でもキチンと部屋を消臭することが困難になります。

基本的な遺品整理の手順

では、次に身内の方でも行なうことができる基本的な遺品整理の手順を6つのステップに分けてお伝えします。

①貴重品や思い出の品を見つけ出す

貴重品は、タンスや机の引き出しやテレビ台の中などによくありますので、探してみてください。また、思い出の品は本棚にあることが最も多いようです。

②レンタル品を返却する

ほとんどの場合は、返却先が記載されていますので、連絡をして返却しておきましょう。

面倒だからと、そのままにしておくと、後に多額の延滞金を請求されることもあります。

③リサイクル可能な遺品は買取業者を依頼

特に、家電製品で製造から5年以内であれば、買取り対象品になることが多いようです。

衣類は、シーズン季節前やシーズン前半であれば、買取り可能のようです。

④その他の遺品を分別する

その地域のゴミ出しの分別方法に従って分別します。

詳しい分別方法は、遺品整理を行なう市区町村のホームページで確認してください。

⑤市区町村に不用品として出す

タンスなどの粗大ゴミを出す場合は、事前に予約や支払いが必要になります。

またキチンと分別されていないと回収されないこともありますので、近所迷惑にならなうように気をつけましょう。

⑥簡単な清掃をする

特に、賃貸住宅の場合は、その掃除の有無で不動産会社や大家さんからの印象が変わることもありますので、簡単でも構いませんから、必ず清掃しておきましょう。

代表的な形見例

ここでは、身内の方が形見としてお持ちになられた主な遺品をご紹介します。

アルバム・写真

やはり、故人の面影が残る写真やアルバムを形見としてお持ち帰りになられる遺族の方が一番多いようです。

手紙類・日記

次には、故人の思いや考えなどが感じ取れる書物を形見分けされる遺族が多くいらっしゃいます。

故人の愛用品・趣味の品

最後は、故人が楽しんでいる様子が伺える愛用品や趣味の品を形見にされる方がおられます。

もしかしたら、一緒に過ごした時間を偲んでおられるのかもしれませんね。

孤独死があった部屋には独特の臭いがある

遺品整理をしなければならない理由の1つに、不幸にも身内が孤独死してしまった場合があります。

その際に気を付けなければならないことは、部屋の臭いです。その臭いはいわゆる死臭と呼ばれています。

亡くなった翌日か明後日に発見されれば死臭が発生することはほとんどありませんが、それ以外であれば大なり小なり、部屋には死臭が発生しています。

死臭が発生する理由には、主に以下の3つがあります。

①発見時期の遅れ

3日~7日以上、遺体発見まで日数が経過していると、死臭は発生していると考えていいでしょう。ちょっと生々しいですが、生肉を部屋に放置していると腐敗する原理と全く同じです。

②室温の上昇

夏場では室温が40度以上になることもあります。そうなれば当然、雑菌の繁殖が活発になるので、腐敗の進行度合いも早くなります。

夏場では3日以上、遺体発見まで日数が経過していると、死臭は発生していると考えていいでしょう。特に夏場で7日以上経過していれば、強烈で異様な死臭が発生しています。

③故人の体型

体脂肪率の高い遺体は、腐敗の進行度合いは早まります。特に皮下脂肪が多い遺体は、死臭の発生度合いがより早いといわれています。

このような孤独死があった部屋を消臭することを「特殊清掃」といいます。近年では孤独死が増加傾向にあるので、特殊清掃の専門業者も登場しています。

入室に抵抗を感じるほど死臭が多い場合や、心情的にどうしても遺品整理ができない場合は業者へ依頼するしかありません。

業者がしている特殊清掃方法

ここでは、私たちが行なっている基本的な特殊清掃の方法をお伝えします。依頼者の要望や部屋の状況によって、順序が入れ替わったり、行程が省かれることもあります。

腐敗体液の付着物の撤去

悪臭がする品を搬出して片付け

まずは、死臭の発生源である腐敗体液が付着した物をビニールを二重三重に梱包して撤去します。

腐敗体液の除去

床の体液をきちんと洗浄し状況によっては解体

床や敷居に付着している腐敗体液もブラシなどの工具を使って除去します。この工程が一番重要です。

なぜならば、床や敷居の隙間に残っている僅かな腐敗体液も完全に除去しなければ決して死臭が無くならないからです。

一次消臭消毒作業

消臭除菌剤をしっかりと噴霧

腐敗体液が付着していた箇所の消臭消毒薬品の塗布をします。

その後、作業中に腐敗体液が靴底について広まらないように、該当箇所に大きな布などを被せて養生します。

遺品整理作業

遺体があった箇所だけ消臭しても絶対に死臭は消臭できません。なぜならば、直接触れていない遺品にも死臭が付いているからです。

死臭全体の約20%は遺品から発しているものです。そのため遺品の内容を確認しながら整理し、不用品は梱包して搬出します。

部屋全体の簡単な清掃

簡単なハウスクリーニング程度の掃除

ハエなどの害虫が飛び回ることによって死臭の元である腐敗した体液は、部屋中いたる箇所に広まっています。

そのため、鴨居など高いところにあるホコリなども落とす必要があります。

二次消臭消毒作業

死臭は空気を通して部屋全体に臭いが移っていますので、たとえフトンの上で亡くなってもキッチンやトイレなどの床や天井にも消臭消毒の薬品を散布します。

消臭確認

作業員が異臭の有無を直接確認

部屋全体に鼻を近づけて消臭できたかどうかを確認します。特に腐敗体液が付着していた箇所は念入りに行ないます。

業者がしている遺品整理方法

ここでは、業者が行なっている基本的な遺品整理の方法をお伝えします。業者によっては、行程の順序が異なっていたり、省かれていたりすることもあります。

遺品の一次整理作業

貴重品・思い出の品・レンタル品を探し出し、取り置きします。

リサイクル品の買取りまたは無料引取り

トラック車両に載せて、リサイクル店舗へ搬送します。

個人情報の適切な処理

パソコンなどは、専門のリサイクル店へ運搬します。紙類は専門の処理工場へ搬入します。

遺品の二次整理作業

残りの遺品を不要品と資源品と粗大品等に分けて、トラック車両に載せてそれぞれの処分工場へ搬送します。

簡単な清掃

遺品整理作業の際に発生したホコリやゴミなどを掃除機やほうきで清掃します。

料金の目安

ほとんどの業者では作業開始前の料金は相談無料

ここでは、お客様が実際に支払う総額(消費税別途)でお伝えします。遺品の量や死後経過日数によって、金額に大きな幅があることはご了承ください。

遺品整理の料金目安(総額)

遺品整理 33,000円~1,320,000円

間取りごとの料金目安

ワンルーム 33,000円〜165,000円
1DK 33,000円〜198,000円
1LDK/2DK 55,000円〜412,000円
2LDK/3DK 99,000円〜693,000円
3LDK/4DK 131,000円〜1,122,000円
4LDK/5DK 165,000円〜1,320,000円

特殊清掃料金の内訳

汚染物の除去 27,500円〜220,000円
害虫駆除 16,500円〜55,000円
消臭除菌 16,500円〜275,000円

腐敗体液の浸み込み範囲によっては、追加でリフォーム費用が発生することがあります。

遺品整理業者の中には孤独死部屋に未対応の業者もいる

孤独死で遺品整理が必要になった場合、遺品整理業者と特殊清掃業者のどちらに依頼しればいいのかはっきりと分かりませんよね。

その答えは「特殊清掃業者」です

なぜならば、実は遺品整理業者は、不用品回収の一環として遺品整理を行なってる業者がほとんどですので、死臭の消臭には慣れていないからです。

そのため部屋の中に死臭があると戸惑ってしまい、遺品整理の依頼をお断りしている遺品整理業者もいるようです。またその適切な対処方法や消臭ノウハウも持っていません。

孤独死の遺品整理は必ず特殊清掃業者に依頼すべき

その点、先ほどもお伝えしましたが、遺品にも死臭が付いているので、キチンとした特殊清掃を行なうには、どうしても遺品整理もする必要があります。

そのため、特殊清掃業者は必ず遺品整理の経験やコツにも精通しているとも言えるのです。よって孤独死の遺品整理は、必ず特殊清掃業者に依頼すべきといっても過言ではありません。

悪徳業者を見分ける方法

業者に依頼する際に最も気になるには「悪徳業者に騙されないか」ではないでしょうか。その騙しテクニックに騙さないようにするには、その手口を知っておく必要があります。

悪徳業者の手口例

  • ネットで最低金額を誇張して、見積りでは高い金額を提示する
  • 現地見積り時に、依頼するまで居座る
  • リフォームをしつこく勧めてくる

しかし、特殊清掃は文字通り特殊な依頼なのだから、優良で安い業者は決して存在しない理由も知っておくと、さらに悪徳業者に騙される確率は低くなります。

その他、悪徳業者の手口の実態や具体的に安くならない理由を知りたい人は「特殊清掃業者について」で、詳しくお伝えしています。

まとめ

孤独死に伴う遺品整理についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

特に死臭が多い場合は、身内の人が遺品整理を行なうことは心情的にも困難だと思われますので、いつでも私たちに相談してみてください。

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