スマホで「特殊清掃員の給料は高い？安い？」などの情報を見つけて、次のように思われていませんか。

• 実際には給料はいくらぐらい？
• 待遇面や休日はどんな感じ？
• 作業はどれぐらいキツいの？

ということで、長年特殊清掃業を営んできた私が書いたこのページをみれば、特殊清掃員のリアルな給料や年収、待遇、仕事内容などを知ることができます。

特殊清掃員の給料を調べてみた

まずは、関東地区の特殊清掃業者が、求人サイトで募集している給料を調べてみたので、ご覧ください。

特殊清掃業者「小山組」

特殊清掃業者「金田臨海総合」

特殊清掃業者「アイリスコ」

特殊清掃業者「ブルークリーン」

特殊清掃業者「アースアラウンド」

特殊清掃業者「ハルパエヤ」

特殊清掃業者「ケアサービス」

特殊清掃業者「アストラスト」

特殊清掃業者「武蔵シンクタンク」

特殊清掃業者「まごのて」

特殊清掃の給料についての動画

他業者様になりますが、特殊清掃の給料について語られている動画がありましたので、参考にされてみてくださいね。

特殊清掃員であった私の年収を公開

2008年に特殊清掃業を起業して5年後、都内に住宅を購入できた私の年収1,728万円の内訳を徹底解説します。

今現在は、従業員を在籍させて、社長として定額の役員報酬を受け取っています。

年収1,728万円の内訳

まずは特殊清掃業で得た年収1,728万円の詳しい内訳を説明します。

売上単価18万円について

上記見積書から分かるように、特殊清掃の売上単価は、平均18万円（遺品整理やゴミ屋敷片付けは除く）でした。

もちろん地域や現場状況、お客様の要望等によって大きな差はありますが、2008年から特殊清掃業を営んできた経験から導かれた平均金額は18万円でした。

1ヶ月に現場は8つ

実は、特殊清掃現場1つに対して、すべての作業が完了するまでに、下記のように最低3日はかかります。

• １日目「訪問見積もり」「特殊清掃作業」
• ２日目「残りの特殊清掃作業」「消臭確認と会計」
• ３日目「回収した汚染物の工場搬入」

それに休日や下準備などを考慮すると、月に作業できる現場数は、8つが妥当でしょう。

「特殊清掃員が稼げる」は過去の話

「年収1,728万円」とお伝えしておいて心苦しいのですが、もう特殊清掃員になられたとしても、強運に恵まれない限り、高収入は難しいでしょう。

なぜならば「特殊清掃業は儲かる」と聞いて、下記業者の多くが、一気に業界参入してきて、料金崩壊がはじまっているからです。

• 不用品回収業者
• 便利屋
• 解体工事業者
• ゴミ屋敷片付け業者
• ハウスクリーニング
• 遺品整理業者

給料の元となる特殊清掃料金の相場は、私が起業した当時と比べて、半分近くまで低くなっています。

そのため、以前のような高い給料を狙って、特殊清掃員になられることはおすすめできません。

因みに、適正価格を維持されていて給料待遇が良いと思われる特殊清掃業者を「優良な特殊清掃業者について」で、一覧表にしています。

特殊清掃員の給料は高い？相場はいくら？

では、近年の特殊清掃員の給料や年収は、他の職業と比較して、どれぐらい高いのだろうか？と気になりますよね。

そこで、アルバイトと正社員に分けて、特殊清掃員の今現在の平均収入を相場表にしてみました。

アルバイトの日給と時給

上記金額は、特殊清掃員が1日でもらえるバイト収入の相場です。

仕事に慣れるまでは、試用期間として、日給15,000円以下の特殊清掃会社もあるようです。

時給に換算すると1,250円〜2,083円

実際に、勤務に必要な時間を下記12時間とすると、時給では1,250円〜2,083円になります。

（15,000円〜25,000円）÷12時間
＝1,250円〜2,083円

日給/時給ではかなり高収入

全国のアルバイト・パートの平均時給（2022年12月度）は1,177円ですので、特殊清掃員の時給は、非常に高いといえます。平均時給の参考元

しかし、週休2日や週5日出勤のように、安定して特殊清掃の仕事が入るわけではないので、1ヶ月のバイト収入や年収は不明です。

正社員の月給と年収

上記金額が、特殊清掃員が1ヶ月でもらえる給料の相場になります。

手取り額ではなく、厚生年金や社会保険料、所得税が引かれる前の月収です。

大企業の特殊清掃会社はないので、定期的な昇給はなく、上記を大きく上回る50万円〜60万円以上の給料は難しいでしょう。

年収は240万円〜420万円

（20万円〜35万円）×12ヶ月
＝240万円〜420万円

特殊清掃業界は、経営が不安定な中小零細企業が大半ですので、ボーナスなしの基本給で計算しています。

特殊清掃の需要が、大幅に増えて業績が向上した場合は、賞与や歩合給が支給されることがあります。

給料/年収では若干低い

全国の平均給与（2021年度）は443万円ですので、特殊清掃員の給料/年収は少し低い傾向になります。平均給与の参考元

正社員の給料が安い理由は、孤独死現場での作業がない日でも日給収入があるからです。

また近年になって、死臭を十分に消臭できない格安業者が多数登場してきて、適正価格の優良な特殊清掃業者が、価格競争で負けていることも要因でしょう。

特殊清掃員の待遇について

特殊清掃業者で働く作業スタッフの待遇面について、その実態を調べて表にしてみました。

【実態】待遇や優遇は正社員だけ？

2021年4月に「パートタイム・有期雇用労働法」が改正されて日が浅いためか、厳密には法令違反になるのですが、どうやら待遇や優遇されるのは、正社員だけのようです。

アルバイトや契約社員には、上記表内の赤文字ぐらいしか、実際には待遇されないようですね。

仮に募集要項にいろいろな記載があっても、様々な条件があり、対象になる人は稀ですので、あまり待遇面で期待されないほうが良いでしょう。

資格取得で給料アップできる？

スマホで特殊清掃員の給料を調べると、資格があれば基本給に手当が付いて、給料が増えるみたいな記述を見かけると思いますが、その実態をお伝えします。

特殊清掃人に有効な民間資格は3つある

特殊清掃で有利になると言われている民間資格に下記3つがあります。

ちなみに、マニュアル車の普通自動車免許は、特殊清掃員には必須な資格です。

求人に有効だが大幅な賃金増額はない

前出3つの資格で、もしかしたら月に数千円程度の手当がもらえる可能性はありますが、数万円以上は難しいでしょう。

特に、もうすでにその資格を取得済みの特殊清掃人が在籍している会社では、1円も手当が出ない可能性さえあります。

ただし、求人応募で提出する履歴書にこれらの資格があれば、その心意気や本気度が伝わるので、採用率はかなり高くなります。

【給料がアップしない理由】広告宣伝

これら民間資格は、ごく普通の人間なら特殊な技術や経験がなくても、講習会を受ければすぐに誰でも取得できます。

正直に言いますと、死臭消臭の仕事現場では、民間資格なんて全く役に立ちません。

それでも多くの特殊清掃業者が、ホームページに資格証明書を掲載しているのは、下記の理由からです。

【目的】広告宣伝＝他社との差別化や安心感を演出しているだけ

資格者がいるので「売上単価がアップ」するとか、片付ける作業効率が上がって「経費削減」にはならないので、給料が上がるはずないのです。

収入に合う？特殊清掃員の仕事内容とは

前出の通り、特殊清掃員（正社員）の給料はやや安めですが、その仕事ぶりは究極の3Kと言わざるを得ません。

その実態を知っていただくために、当社の特殊清掃員が行ったきつい仕事内容を動画と写真に分けて紹介します。

私たちが行った特殊清掃作業の動画

もちろん上記現場の依頼主様からは、動画撮影とホームページ掲載の許可を頂いています。

孤独死が起きた部屋は衝撃的

ご遺族様が立ち合う際に、警察から「死後2〜3ヶ月経過している」と、突然言われたとのことでした。

朝早くに連絡しても出なかったので、珍しいなとは思っていたが「まさかこんな事が起きていたなんて」と、涙声で言われていました。

死臭を抑える消臭剤を噴霧

やはり腐臭が軽減された現場では、作業効率が良くなるので、臭いがキツイ場合は、先に消臭剤を噴霧します。

しかし、あまり腐敗臭が発生していない場合は、濡れて足元が悪くなるので、汚物へ消臭剤の噴霧は行いません。

ご遺族様からは「遺品は少ないが、思い出の品になる物があれば取っておいて欲しい」と言われました。

固まった腐敗体液を大まかに除去

腐敗した血液が付いたタタミを撤去すると、途中で剥がれ落ちて、悪臭や細菌が他の箇所にも広がるので、まずは8割ほど取り除いておきます。

ご遺族様は「いつものように連休を一緒に過ごしていればこんな事態は防げたのでは…」と、後悔されていました。

畳を撤去して下地の腐敗体液も除去

上記写真のように、畳の上で孤独死された現場では、必ずと言っていいほど、畳の下まで腐敗体液は達しています。

当然このようなケースでは、下地の解体工事もしくは工具と洗剤を使って腐敗体液を取り除く必要があります。

この頃になると、遺族の方もだいぶん落ち着かれたようで、黙々と作業をする私たち作業スタッフをじっと見つめられていました。

リフォーム工事のため体液除去のみ

大家さんからの申し出で、特殊清掃完了後に、原状回復リフォームをされる予定なので、リフォーム業者が入室できる程度の死臭消臭でよいとのことでした。

そのため、下地の解体工事を行わず、作業スタッフ3名で、遺品整理と腐敗体液の除去だけを行いました。

ここまで部屋が様変わりすると、ご遺族様から「大変なお仕事ですね。本当は私がしなければならないのに」と、私たちに心遣いをされていました。

当社独自配合の消臭薬剤を噴霧

その後は、特殊清掃専用の消臭剤に当社独自の薬品を施した薬剤を噴霧しました。

下地に染みこんだ腐敗体液が残るため、99%消臭とまではいきませんが、解体とリフォームが十分にできる状態にはなりました。

特殊清掃現場の片付け作業完了

上記写真が、今回の特殊清掃を終えた状態です。

消臭剤が乾燥すると、腐敗した匂いはもっと消臭されるうえに、見栄えもよくなります。

この状態を見られたご遺族の方から「本当にありがとうございました」と、感謝の言葉をいただきました。

特殊清掃員に向いてる人とは？

20万円〜35万円の給料で、このような作業を月に数回行うことが、特殊清掃人の仕事内容になります。

その他に、重い家具家電などを運び出す力仕事やトラックへの積み下ろしなどの重労働もあります。

「特殊清掃員の仕事って収入面では合わないな」というのが、正直な感想なのではないでしょうか。

それでもまだ興味をお持ちならば、特殊清掃で活躍できる人の特徴を「特殊清掃員に向いてる人について」で、説明しています。

結論！高給目当ての人は特殊清掃員に不向き

「特殊清掃員の給料なら高いのでは？」と期待されていた人には残念な気持ちにさせてしまいましたが、このページで挙げている金額が、リアルな給料や年収になります。

高い給料だけが目当てで、特殊清掃員に興味を持たれたのなら、他の職業を探されることをおすすめいたします。

特殊清掃員が長く務まるのは、収入よりも遺族に寄り添う気持ちと故人への尊厳を大切にして、お困りごと解決への使命感がある人ですからね。