
死体にウジ虫が湧くという話を聞いたことはあるけど、一体どのようにして湧くのだろうかと思われていますよね。
しかし、15年以上数多くの特殊清掃現場を見てきた私の実感では、実際には、死体に自然発生的にウジ虫が湧くということはないと思います。
この記事では、死体でウジ虫が成長する過程と、死体からウジ虫が湧いていないと証明した実験についてお伝えします。
孤独死現場で遭遇したウジ虫体験談
ウジ虫の成長過程を説明する前に、まずは私が特殊清掃で遭遇したウジ虫現場の体験談3つをご覧ください。
【ウジ虫体験談①】カーペットの下にウジ虫らしき害虫が…
遺族からの依頼で、半ばゴミ屋敷と化していた部屋の特殊清掃を行っていました。
ちょうど夏場だったため、防護服で汗だくだくになりながら、遺体をあった周辺に散乱している腐敗体液が付着した汚物を回収しました。
そして、床に染み付いた腐敗体液を除去して、その他家具や生活雑貨なども回収して、ようやく死臭がかなりなくなってきました。
やがて特殊清掃も終盤になり、遺体があった部屋の片隅に敷かれていたカーペットを回収しました。
すると、遺体があった箇所から3メートル以上も離れているにも関わらず、こんなに大量のウジ虫や害虫がカーペット下に潜んでいました。
想定外の箇所で、かつ結構大きめなウジ虫だったので、一瞬血圧が上がりましたが、可燃物として丁寧に袋詰めして回収しました。
【ウジ虫体験談②】布団をめくると得体の知れない虫が大量にいた
独り身の老人男性が亡くなったとのことで、アパートの大家さんから特殊清掃の依頼がありました。
部屋に入ってみると、カーペットの上に敷かれた布団で亡くなられていた痕跡がありました。
特殊清掃の大原則は、死臭の元である腐敗体液から取り除くことです。というわけで、まずは布団の回収から作業を始めました。
早速、掛け布団と枕を回収し、敷き布団をめくると、上記写真の虫が視界に飛び込んできて、思わずギョッとしてしまいました。
このような幼虫は明るさが苦手で、放っておくと、暗さを求めて動き周り物陰に隠れてしまうので、すぐにほうきや掃除機で回収して、逃げ出さないように袋詰めします。
【ウジ虫体験談③】部屋を片付けていたらウジ虫がニョキニョキと…
亡くなった人の娘さんから電話があり、母親が孤独死してしまったので、その部屋の清掃をして欲しいとのことでした。
早速現場を訪れた印象は、夏場でしたが、珍しく遺体の腐敗があまり進んでいない様子の部屋でした。
しかし、遺体があった箇所付近にも日用品が少し散乱していたので、特殊清掃の前に、部屋を片付ける必要がありました。
そして、日用品の分別作業をしていると、ウジ虫がニョキニョキと姿を現してきましたので、逃げ出さないように、すぐにホウキで掻き集めて袋詰めしました。
死体でウジ虫が成長する過程
では、次にウジ虫が湧くのではなく、死体でウジ虫が成長する過程をお伝えします。
次項目で詳しく説明しますが、成長する様子は、まさしく湧いてくるようにも見えるかもしれませんね。
死体が腐敗する
豚や牛などの生肉を常温で放置していると、腐ってしまいますよね。それと同様に人間の死体も腐ってしまいます。その理由は体内に潜んでいる菌です。
生きている間は、免疫作用が働き、それらが異常に増殖することがありませんが、死後は、免疫力がゼロになるので、一気に菌が増殖して腐敗が進みます。
死臭が発生する
腐敗すると、当然腐った匂いが発生します。死体からの腐敗臭は死臭とも言われています。
その死臭成分は、ハエが好む揮発性脂肪酸や窒素化合物、硫黄化合物なのです。
これらは私たち人間にとっては、強烈な悪臭ですが、ハエによっては、好物の香りになるのでしょう。
ハエの成虫が死体に集まる
その悪臭に引き寄せられてハエの成虫が死体に集まります。
一般住宅では、一見ハエの成虫がいないように思われていますが、わずかな隙間はあれば、いくらでもハエは侵入してきます。
なので、孤独死の場合は、ほとんどのケースでは死体にハエやゴキブリが集まっています。
ハエの成虫が死体に卵を産み付ける
メスのハエは死体を貪っている最中に、産卵し卵を死体に産み付けます。
エサの近くに産卵することでより多くの子孫を残せることを本能的に知っているかのように、異常に多くの卵を産み付けます。
1回に50~150個の卵を産み、一生に500個の卵を産みといわれています。
卵がふ化してウジ虫になる
卵は、産卵から1日足らずでふ化し、ウジ虫になり、その期間は約1週間です。
その1週間の間にサナギになるために栄養を死体から摂取します。
ウジ虫がエサとなる死体に群がり食べる
死体の奥深くまで食い散らかします。その様は、まるで死体の中からウジ虫が湧いているように見えます。
やがてウジ虫がさなぎになり、成虫であるハエに成長します
ウジ虫は、さなぎに変身するため、乾燥した場所に移動し4日~5日を過ごし、ハエへと成長し、次のエサ場へ飛び立っていきます。
「卵」
↓
「ウジ虫」
↓
「さなぎ」
↓
「ハエ」
上記成長期間は、約2週間です。
死体体内からウジ虫が湧いているわけはない
巷では、よく「ウジ虫が湧く」といわれていますが、決して自然的にウジ虫が死体内部から発生するわけではありません。
死体に産み付けられた小さな卵からふ化したウジ虫がグネグネと動き回って死体を貪り、段々と大きく成長しているだけなのです。
卵がなければ、ウジ虫も発生することはありません。
しかし、現実はどうであれ、その様子を描写するには、「ウジ虫が湧く」という表現がピッタリだと個人的には思います。
一方、昔の人たちは、死体の中でウジ虫がグネグネと動き回る様子をみて、本当にウジ虫が湧いてきたと思われていたようです。
当時はこの自然発生説が優勢だったようですが、しかし1668年にフランチェスコ・レディの実験により、その自然発生説が覆されました
フランチェスコ・レディの実験
その実験でレディは、6つのびんを用意し、それを3つずつ2グループに分けた。それぞれのグループの1つめのびんには未知の物体を入れ、2つめには魚の死骸、3つめには生の子牛肉の塊を入れた。
そして一方のグループはびんの口に目の細かいガーゼをつけて空気しか出入りしないようにし、もう一方には何もつけないでそのままにしておいた。
数日後、びんの口に何もつけなかった方はハエが自由に出入りできたため蛆がわき、ガーゼで覆った方には蛆はわかなかった。
次に彼は、蛆を捕らえてそれが変態するのを待つ実験を行った。蛆はハエになった。さらに死んだ蛆やハエを動物の死体や生肉と一緒にガーゼをかけたびんに入れておいたが、蛆はわかなかった。
このように「ウジ虫が湧く」という表現をしても、実際に死体体内から自然的にウジ虫が湧いているわけはないということは知っておきましょう。
死体ウジ虫の動画リンク集
下記のリンク先動画は、かなりグロテスクな内容になっていますので、視聴になられる人は、覚悟を決めてご覧ください。
これら動画を視聴されて、気分を悪くされたり、PSTDの症状が出ることもありますので、必ず自己責任で視聴してください。
【衝撃映像注意!!】ウジ虫による死体処理が驚異的な件について
庭に魚を設置したらウジ虫が湧きました
ウジ虫誕生の瞬間【グロ注意】
孤独死部屋のウジ虫でお困りの人へ
親族が孤独死して、その部屋のウジ虫駆除でお困りの人は、孤独死部屋の清掃専門業者に依頼することをおススメします。
その理由は、通常のハウスクリーニング業者では、引き受けてもらえないことが多く、また死臭消臭もキチンとできないからです。
孤独死部屋の清掃専門業者は、業界用語では「特殊清掃業者」と呼ばれています。特殊清掃については「【初心者向け】特殊清掃についてあなたが知りたいこと全てを解説」でその内容を詳しくお伝えしています。
まとめ
今日は、死体でウジ虫が成長する過程と、死体からウジ虫が湧いていないと証明した実験についてお伝えしましたが、頭の中のモヤモヤは解消されたでしょうか。
実際にウジ虫でお困りの人は、一度特殊清掃業者に相談してみましょう。