特殊清掃員になると経験する特殊清掃現場の写真と仕事内容

特殊清掃員になるには正社員ではなくバイトからがベスト

最近、特に注目度が高い特殊清掃業界の職業について、興味を持ち、いろいろ情報を検索されていますよね。

「人が亡くなった特殊清掃現場で作業をすれば高い給料をもらえる」と、ほとんどの人が思われているのでは…。

長年、特殊清掃業界で活躍する私が、特殊清掃員になったら経験するリアルな仕事内容と収入等々について、徹底解説します。

特殊清掃員とは?仕事柄経験する特殊清掃現場

どんな現場?特殊清掃員の仕事内容について

特殊清掃員とは、孤独死もしくは自殺で亡くなった部屋にある汚染物などの不用品処分と汚染箇所の消臭除菌が仕事の現場作業員のことです。

詳しくイメージできるように、特殊清掃員が仕事する可能性が特に高い順に、人が亡くなった室内箇所ごとの特殊清掃現場の写真を掲載しています。

過酷な特殊清掃現場の写真がほとんどですので、初めての方は閲覧される前に心の準備をお願いいたします。

【特殊清掃現場の室内箇所①】布団

ほとんど人型に腐敗した体液。最もお問い合わせが多い箇所は布団の中。

実際に孤独死が起きてお困りの部屋。亡くなった時から長期間放置されていた。そのため、布団に腐敗した体液が残っている。

【特殊清掃現場の室内箇所②】トイレ

常に特殊清掃のお問い合わせが多いトイレ

高齢の方がトイレで力を入れた際に、それに応じて急激な血圧変化が発生し、持病が原因で亡くなったようです。

【特殊清掃現場の室内箇所③】お風呂

もちろん風呂についてのお問い合わせも多い

入浴した際に孤独死された写真です。亡くなった人の血痕が浴槽や床に付いています。もちろん周辺は悪臭が充満していました。

【特殊清掃現場の室内箇所④】居室

状況に応じて消臭除菌以外にゴミ屋敷清掃も必要だった居室

畳の上で亡くなったと思われる腐敗した体液を詳しく確認できます。ウジ虫も多数発生しています。

【孤独死現場の清掃箇所⑤】廊下

実は廊下での孤独死についてのお問い合わせも多い

死因は不明ですが、廊下で亡くなったようです。この写真を見ると、遺体がどんな状態だったかが確認できます。

遺体の腐敗状況に応じて、フローリングの解体工事が必要になることもあります。

特殊清掃員が行う仕事内容

特殊清掃員は、遺体があったどんな孤独死現場でもしっかりと消臭除菌できるよう、下記9つの作業に分けて仕事を行うことが一般的です。

①ウジ虫の駆除

ほとんどの特殊清掃現場ではまずはウジ虫の駆除から作業開始

初めての仕事内容は、ほとんどの場合、即日対応できるウジ虫の駆除からです。

その理由は、ウジ虫を駆除せずに消臭作業すると、ウジ虫によって体液や悪臭が広がるからです。

②腐敗した体液が付着した汚染物の撤去

臭いがする遺品を搬出して片付け

次に行う仕事内容は、腐敗体液が付着している汚染物の撤去です。

ほとんどの孤独死現場では、腐敗した体液や血液が布団や衣服はもちろん、畳やフローリングにも付着しています。

そのため、遺品を他の箇所に腐敗した体液が付着させないよう丁寧に搬出します。

③汚染箇所を洗浄し体液を除去

体液の除去については必要な洗浄を丁寧にする

フローリングや壁への付着で撤去できない場合は、専用機械を使用し、しっかりと洗浄して体液を除去します。

現場の状況に応じて、解体工事が必要なケースもあります。

④消臭剤と除菌剤を噴霧

ほとんどの現場では消臭除菌の薬剤を噴霧する

その次の仕事内容は、汚染箇所への消臭剤と除菌剤の噴霧です。

この両方には、腐臭専用の薬剤が含まれており、消臭除菌の効果は、一般的な消臭剤と比較してかなり高いです。

⑤死臭の有無を確認

スタッフが腐臭の有無を確認

スタッフの鼻を汚染箇所に近づけて死臭の有無を常に確認します。

死臭が残っている場合は、もちろん汚染箇所の洗浄して消臭剤と除菌薬剤の噴霧を繰り返します。

⑥遺品整理と不用品処分

悪臭がする家財はリユース・買取が出来ないので処分。ただし貴重品は除く。

ほとんどの腐臭は、ここまでの仕事内容で消臭されてますが、残る臭いは、衣服や家具などの遺品に染み付いています。

遺品整理を行いながら貴重品や思い出の品、貴重品、形見等々に分けて、不要な遺品は搬出し処分します。

⑦部屋を簡単に清掃

実は簡単な掃除も重要

遺体からの腐臭は、ほとんどの場合、部屋全体にも付着しているので、掃除道具できれいに清掃します。

この簡単な掃除をしないと、どんなに汚染箇所の消臭と遺品整理をしても不気味な腐臭が残ります。

⑧部屋全体に薬剤を噴霧

部屋全体に噴霧するのが重要

消臭除菌の薬剤を、床や壁紙はもちろんですが、現場状況に応じて窓ガラスにも噴霧します。

さらに依頼者様からご希望があれば、その後にオゾン脱臭も行います。

⑨最後に消臭の効果を確認

作業員が臭気を判断

現場作業員が、特殊清掃サービスの完了後、腐臭、悪臭、異臭を確認します。

実際に、床や壁、窓、その他の箇所に鼻を近づけて判断します。

もちろん、腐敗した体液が付着していた汚染箇所の臭い確認もします。

特殊清掃員の仕事柄が分かる動画

当社在籍の特殊清掃員が、孤独死現場の消臭と除菌の作業をしている実際の動画です。

あなた自身が特殊清掃の仕事に向いてるかどうかの判断材料の1つにしてください。

上記特殊清掃作業の撮影とホームページへの掲載について、もちろん依頼主様から許可を頂いています。

消臭作業だけが特殊清掃員の仕事ではない

特殊清掃以外のお問い合わせにも対応可能

実は、死臭が発生している汚染物の処分と汚染箇所の消臭だけでは、特殊清掃員の仕事は完了いたしません。

その理由は、残された遺品や他の床や壁、天井にも死臭が染み付いているからです。

その為、下記の作業も特殊清掃員には必須な仕事内容になります。

  • 遺品整理 ※貴重品と思い出の品の捜索
  • 不用品処分・残置物の撤去
  • 解体工事・原状回復・リフォーム
  • ゴミ屋敷清掃

どの仕事内容も体力と精神力が必要なので、清掃業のような軽作業だけを希望の人は、他の職種をおすすめします。

特殊清掃員に向いている人と不向きなタイプ

特殊清掃員に向いている人のメンタルと不向きなタイプに分けて、まとめてみましたのでご覧ください。

特殊清掃員に向いている人

2008年から特殊清掃業界で営んできた私の経験から分かったこの業界で活躍できる人のメンタルを3つ挙げています。

【メンタル①】儲かる事に興味が強い人

一般の方々よりも収入に興味がある人が向いているでしょう。しかし間違わないでください。

お金を使う事ではなく、特殊清掃サービスを通じて、お客様からありがとうと感謝された結果、儲かる事に興味を持っている人が向いていると思います。

その理由は、究極にきつい・汚い・危険の仕事だが、多くの現場で仕事すれば、実は高収入も十分に可能だからです。

【メンタル②】仕事内容がきつい・汚い・危険でも耐える人

消臭や遺品整理だけでなく形見の捜索も重要な仕事

きれい好き度が高い人は、孤独死で汚染された臭い部屋の特殊清掃には耐えられないでしょう。

だからといって、どんな汚れや臭いも気にならない人も向いていません。

汚れを見たら「よ~し、きれいに片付けてやるぞ!」と、やる気になる人が向いていると思います。

【メンタル③】お困りごと解決への使命感が強い人

特に正社員には必須な心構え

遺体があった部屋をそのまま長期間放置すると、リフォーム業者にも依頼できず、ずっと空室のままになり、大家もしくは遺族がお困りになる上に、環境面でもよくありません。

そんな部屋の片付けは、故人と向き合う供養のためにも、誰かがしなければならないのです。

「だったら私がやろう」と、特に使命感を持った人が最も向いているでしょう。

特殊清掃は、故人への尊厳とご遺族様へ寄り添う気持ち、社会貢献などの使命感なしでは、決して長続きできる仕事ではありません。

特殊清掃員に不向きな人

次に、特殊清掃の仕事に就かない方が良いと思われる人のタイプ4つを挙げてみました。

1つでも当てはまる人は、特殊清掃員になられても長続きしないと思われるので、他の職種を探される事をおすすめします。

【タイプ①】現場写真だけで身構える

このページの孤独死現場の写真を見て、精神的に強いストレスを感じた人は、特殊清掃員には向いていないでしょう。

その理由は、実際に扱う現場では、故人の腐敗体液やウジ虫などの見た目以上に、ショックな死臭が、部屋全体に充満しているからです。

特に、死臭を嗅ぐ経験がない人への説明は困難なのですが、その臭いのショック度は、見た目の数十倍以上でしょう。

遺体の痕跡写真ぐらいで強いストレス負担になるようでは、特殊清掃の仕事で社会貢献はできません。

【タイプ②】腐臭・悪臭に敏感でない

故人の遺族や家主が、特殊清掃を依頼される最大の目的は、孤独死によって遺体が腐敗して、部屋全体に充満している死臭の消臭除菌です。

そのため、臭いの中でも、特に遺体の腐敗によって発生する悪臭に敏感でない人は、特殊清掃員に向いていません。

何故ならば、仮に臭いが残った際に、その箇所が詳しく分からないので、追加の除菌作業等々ができないからです。

【タイプ③】掃除・整理・片付けが苦手

実は、遺体があった周辺の腐敗体液除去や消臭脱臭、ウジ虫駆除などの特殊清掃だけでは、しっかりと死臭を消臭除菌できない事もあります。

その理由は、部屋全体もしくは住居中に死臭が染み付き、遺品や壁、床、ドア、窓等々にも臭いが残っているからです。

そのため、掃除や整理、片付けが苦手な人は、死臭をきちんと消臭除菌できない可能性が高くなるので、特殊清掃員に不向きと言えます。

【タイプ④】体力に自信がない

特殊清掃は、腐敗体液の汚染範囲や染み込み程度によっては、体を曲げた辛い体勢で長い時間、作業する事もあります。

さらに2階以上の特殊清掃現場では、重たい遺品を持って、階段を下りるきつい片付け作業もあり、かなりの体力が必要になります。

そのため、体力に自信がない人もは特殊清掃員には向いていないでしょう。

特殊清掃員の平均給料

実際にもらえる特殊清掃員の給料について

特殊清掃員の平均給料や年収って、遺品整理業者やゴミ屋敷清掃業者などの職場と比較して、どれぐらい高いのだろうか?と気になっていますよね。

まずは、入社時のバイトと正社員に分けて、特殊清掃員の収入相場を調査してみました。

アルバイトの日給と時給

日給 15,000円〜25,000円

上記は、特殊清掃員が1日でもらえるバイト収入の相場です。

ある程度の現場に慣れるまでは、試用期間として、日給が15,000円以下の特殊清掃会社もあるようです。

時給に換算すると1,250円〜2,083円

実際に、勤務に必要な時間を下記12時間とすると、時給では1,250円〜2,083円になります。

孤独死現場での作業 8時間
休憩 1時間
現場までの運転 3時間
勤務時間 12時間

(15,000円〜25,000円)÷12時間=1,250円〜2,083円

日給/時給ではかなり高収入

全国のアルバイト・パートの平均時給(2022年12月度)は1,177円ですので、特殊清掃員の時給は、非常に高いです。

平均時給の参考元

週休2日や週5日出勤のように、安定して特殊清掃の仕事があるわけではないので、1ヶ月のバイト収入や年収は不明です。

正社員の月給と年収

給料・月給 20万円〜35万円

上記が特殊清掃員が1ヶ月でもらえる給料の相場になります。

手取り額ではなく、厚生年金や社会保険料、所得税が引かれる前の月収です。

大手の特殊清掃会社は少ない為、定期的な昇給はなく、上記額を大きく上回る500万円〜600万円以上の給料は困難でしょう。

年収は240万円〜420万円

(20万円〜35万円)×12ヶ月=240万円〜420万円

特殊清掃業界は、経営が不安定な中小零細企業が大半ですので、ボーナスなしの基本給で計算しています。

特殊清掃の需要が大幅に増えて業績が向上した場合は、賞与や歩合給が支給される事があります。

給料/年収では若干低い

全国の平均給与(2021年度)は443万円ですので、特殊清掃員の給料/年収は少し低い傾向にあります。

平均給与の参考元

他の業界と比較して、特殊清掃業者で働く正社員の給料が安い理由は、孤独死現場の仕事がない日でも給料支払いが発生するからです。

近年になって、死臭を十分に消臭できない格安プランの業者が多数登場して、適切価格の優良な特殊清掃業者が価格競争で負けている事も要因でしょう。

昇給に役立つ資格や免許はない

特に事件現場特殊清掃士、遺品整理士、脱臭マイスターのの資格は求人には有利になるかも。

スマホで特殊清掃員の給料を検索すると、資格保有があれば基本給に手当などが付いて、給料が増えるような情報を見かけますが、その実態を紹介します。

特殊清掃員に有利な民間資格は3つ

特殊清掃で有利になると言われている民間資格に下記3つがあります。

資格名 団体名
事件現場特殊清掃士 事件現場特殊清掃センター
遺品整理士 遺品整理士認定協会
脱臭マイスター 日本除菌脱臭サービス協会

学歴不問ですが、特殊清掃員には必須な資格は、普通自動車の運転免許です。

求人には有利だが大幅な手当の増加はない

上記3つの資格取得で、月に数千円程度の手当がもらえる可能性はありますが、数万円以上の手当は困難でしょう。

特に、すでにその資格を取得済みの人が入社している会社では、1円も手当が出ない可能性さえあります。

求人応募で提出する履歴書にこれらの資格が書かれていれば、その真剣度が伝わるので、採用率はかなり高くなります。

【給料が上がらない理由】アピール目的

民間資格は、ごく普通の人間なら、特殊な技術や知識がなくても、費用さえ支払えば誰でも取得できます。

実態を言いますと、実際の孤独死現場での仕事には、民間資格なんて全く役に立ちません。

それでも多くの特殊清掃業者の会社概要で、資格証明書の画像を掲載しているのは、他社との差別化や安心感をアピールしているだけだからです。

従業員に有資格者がいるので、見積もり額が増加するとか、片付け作業の効率が上がって費用削減にはならないので、給料は上がりません。

特殊清掃員の待遇面や過去の私の年収を「特殊清掃業界の平均給料は高い?安い?私の年収額を徹底解説」で紹介しています。

特殊清掃員になるには?

特殊清掃員になれる応募方法についてのまとめ

ここまでページを見られたうえで、特殊清掃員になりたいと思われた人に向けて、求人情報や就職に関する情報をまとめてみました

  • 就職活動の開始前に知っておくべきこと
  • 特殊清掃員を募集している求人窓口
  • 面接の問合せをする前に確認すべきこと
  • 最も採用されやすいお問い合わせ方法
  • 特殊清掃会社に就職した後の注意点

さらに特殊清掃員の応募方法等々のお役立ち情報を詳しく知りたい人は「特殊清掃のリアルな求人情報と求人サイト利用時に注意する点」で、ご確認いただけます。

今怖気づいている人は特殊清掃員にはNG

まずは正社員ではなくバイトがおすすめ

特殊清掃員の仕事場となる現場写真や死臭消臭の作業手順、平均給料、特殊清掃員に最も大切なメンタルなどを紹介しましたが、どう感じられたでしょうか。

このページを読まれた後でも、特殊清掃の仕事に興味がある人は、特殊清掃会社やハローワークにお問い合わせや応募をしてみましょう。

因みに、当社ラストクリーニングでは、今現在では特殊清掃員の求人募集は行っていません。

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