インターネットで「死斑」という言葉を知り、一体どのようなものだろう?と思われていますよね。
死に関することだろうと何となく分かりますが、今1つイメージできませんよね。
そこで、このページでは、ずばり「死斑」そのものについてと「死斑」ができる仕組み等の基本的なことをお伝えしています。
目次
死斑とは
死斑とは「しはん」と読み、死亡後に、打撲を受けていないのに、肉体の一部が打撲を受けたようなアザになる現象のことです。
死斑の斑は「まだら」とも読み、まだら模様の「まだら」を指します。死斑の色は、紫赤色または紫青色であることが多いです。
それでは、なぜ死亡後にそのようなアザ模様ができるのかは、次項目で詳しくお伝えしています。
死斑ができる仕組み
ここでは、時系列に沿って死斑ができていく仕組みをお伝えします。
死後1~2時間
死亡により血液の循環が止まると、血液は重力作用により、自重で肉体の低い位置に沈殿しはじめ、その色が皮膚の表面に現れはじめます。
死後6~7時間
時間の経過とともにその沈殿量は増えていき、死斑は大きくなっていきます。
この時間帯では、まだ血液の沈殿がしっかりとしていないため、肉体の向きを変えると死斑は移動します。
死後12~15時間
これぐらいの時間が経過しますと、肉体の低い位置での沈殿量も最大になり、毛細血管外の組織に漏れ出るために、血液の赤色が濃くなって沈着し死斑の転移はしません。
死斑の模様も皮膚表面にしっかりと現れています。つまり死斑の出来上がりです。
因み情報
この仕組みを1つの基準として警察の鑑識や医師が死亡推定時刻を算出していると言われています。
死斑が多くできる3箇所とその理由
死斑は、至るところで現れるわけではありません。
具体的には、死体の状況ごとに死斑がよく現れる箇所は決まっていますが、多くの場合は次の3箇所です。
①仰向け死体の場合
背中・お尻・大腿部裏の背面部周辺に死斑が多く現れます。
②うつ伏せ死体の場合
胸部・腹部・大腿部表等の前面部周辺に死斑が多く現れます。
③首吊り死体の場合
大腿部・膝・ふくらはぎ等の下半身に広く現れることが多い。
死斑が現れる箇所が決まっている理由
なぜこのような部位に死斑が現れるのかは、死亡すると血液の循環が止まり、血液は血管内において重力に従って下側に集まり、その血液が毛細血管や細静脈にも集まって、肉体の低い位置に留まり変色するからです。
しかし、低い位置でも床等によって圧迫されている箇所には死斑は現れません。なぜならば、圧迫によって集まった血液が毛細血管や細静脈まで入り込めないからです。
上記の理由から、死体状況と本来あるべき死斑箇所とが異なる場合は、事故死や自殺ではなく他殺や死体遺棄の可能性が疑われることになります。
死斑完成後の肉体の変化
死斑は死亡初期の現象で、その後の肉体は次の順で、さらに変化すると思われます。
だたし、気温や湿度などの亡くなった場所の環境などで、その変化が異なることもあります。
死斑の拡大が停止
死後約12~15時間経過すると、死斑の大きさは最大になり、それ以上大きくなることはありません。
死後硬直の完了
死後約24~30時間で、顎からはじまった死後硬直は全身まで広がります。
通常この後火葬となるが、孤独死などで発見が遅れた場合は、次のように肉体は変化します。
肉体の融解、腐敗の開始
融解や腐敗が内臓からはじまります。やがてそれは体表まで達して腐敗体液が漏れ出します。
白骨化
さらに長期間発見されない場合、死亡場所の環境でまれに白骨化しないこともありますが、多くはゴキブリやネズミなどに捕食されて一部が白骨化します。
死斑と皮下出血は似ているが異なる
死斑とよく似た模様に皮下出血があります。ここでは、その両者の違いについてお伝えします。
皮下出血とは
生きている肉体が打ち身などで皮下組織にある血管が切れて出血すること。
血液は体外に出ず皮膚下部に暗色の斑状を示すことです。
死斑と皮下出血を見分ける3つの視点
ここでは、死斑と皮下出血を見分ける際にポイントとなる3つの視点をお伝えしています。
【視点ポイント①】発生箇所
死斑 | 死体の低い位置 |
皮下出血 | どこでも可能性がある |
備考 | 死斑の本来あるべき箇所でなければ皮下出血の可能性大 |
【視点ポイント②】指圧
死斑 | 初期の死斑であれば変色する |
皮下出血 | 変色しない |
備考 | 死亡から12時間を過ぎると指圧での見分けは難しくなる |
【視点ポイント③】凝血
死斑 | なし |
皮下出血 | あり |
備考 | 皮膚の上から触って模様部分に固形物のような感覚があれば皮下出血の可能性大 |
一般的な葬儀の流れについて
この記事でお伝えしたこと以外に一般的な葬儀の流れについても知っておくとより理解が深まります。
詳しくは「一般的な葬儀終了までの流れとその後に行なわれる5つのこと」でお伝えしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、死斑について、できる仕組みやよく現れる箇所やその理由などをお伝えしましたが、分かりやすかったでしょうか。
医学の勉強や小説の資料としてより詳しく知りたい人は、法医学書などでお調べください。