いざ葬儀の出棺のときに、私たち遺族はどう振舞えばいいのだろうか?と、ネットでいろいろと調べられているのではありませんか。
ということで、このページでは、基本的な出棺の手順と世間で知られている出棺時の習慣、出棺時の挨拶例をお伝えします。
いざという時にうろたえないために、ぜひ知っておいてください。
目次
出棺とは
出棺とは、葬儀・告別式の後に死者を納めた棺を霊柩車に乗せて、葬儀会場や自宅から火葬場へ送り出すことです。
まずは、その出棺の基本的な手順をお伝えします。
棺を霊柩車に乗せる手段
一般的に、霊柩車に乗せるまでの棺の運びは、遺族や故人と親しかった成人の手で行なわれます。
また最近では、遺族の子どもでも出来るように台車を使って棺(柩)を使うケースも増え始めています。
火葬場までの搬送手段
火葬場までの霊柩車には、一般的には喪主または遺族1~2名が同乗します。
火葬場での会葬者が多い場合は、近親者のマイカーやマイクロバスなどを手配して、火葬場へ一緒に向かいます。
出棺時の主な4つの習慣
この項目では、世間である程度知られている出棺時の習慣を4つお伝えしています。
①クラクションを長く鳴らす
一般的には、火葬場まで見送りできない人に対する最後のお別れの合図として鳴らす習慣があります。
また故人から会葬者に対して「ありがとう、そしてさようなら」の意味合いもあるようです。
クラクションを長く鳴らすことに宗教的な意味合いはないと言われています。葬儀会社が考え出した弔いの1つではないでしょうか。
②茶碗を割る
出棺にあたって故人が使用していた茶碗を割る習慣があります。
これは、死霊に対する恐怖心から再び戻らないようにするためや、あの世とこの世は逆なので、あの世で茶碗を使用できるようにするためともいわれています。
また同時に死者の蘇生を断念するための行為とも考えられています。
③自宅玄関から出棺しない
自宅から出棺の場合は玄関からではなく、窓や縁側から棺を自宅から出す習慣があります。
その理由は、死に対する恐怖心や死者が戻ることがないようにするためと言われています。
つまり、日常とは逆のことということで、通常の出入り口である玄関の使用を避けているのです。
④家族は火葬場へ行かない
一部地域では、子どもが親よりも先に亡くなった場合には「逆縁」だからと親は火葬場に行かない習慣があります。
また配偶者が亡くなった場合に再婚の意思がある女性は、火葬場に行かないなどの習慣もあるようです。
注意点
上記の習慣は、必ずしなければいけない行為ではありません。あくまでも習慣ですので、最終的には個人の気持ちに任せるべきでしょう。
特に、子どもを亡くした親が火葬場に行かないという習慣は、悲観的になっている親をこれ以上苦しめない配慮からと思われます。
しかし精神医学的には、悲しみから逃れることはむしろ心の傷を大きくすることもあるとされています。
出棺時の挨拶例
ここでは、出棺時の主な挨拶例3つを挙げていますので、参考にしてください。一般的に挨拶の所要時間は長くても3分程度です。
喪主(配偶者)の場合
本日は、故○○○○の告別式にご参列くださいまして、真にありがとうございました。おかげをもちまして、葬式ならびに告別式を滞りなく済ませることができました。
夫が生前ひとかたならぬご厚誼を賜りましたことと合わせて、心からお礼申し上げます。夫は○月○日、午前○時○分に病院で息を引き取りました。私どもも覚悟をしていたこととは申せ、こんなに早く別れの日がきてしまい、もっといっしょにいてあげたかったと悔やまれる思いでいっぱいでございます。
今後は、夫が見守っていてくれることを信じて、こどもたちと力を合わせて生きてまいります。皆様にはこれからも変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。本日はお見送りまことにありがとうございました。
遺族代表(親族代表)の場合
ひと言ご挨拶申し上げます。私は故人○○の長女の夫の○○と申します。喪主が年少でございますので、遺族ならびに親戚一同を代表いたしまして、お札を申し述べさせていただきます。本日はお忙しい中にもかかわりませず、多数ご会葬をいただきましてありがとうございました。
故人○○は日頃から風邪一つ引いたことがなく、「俺には病気なんぞは寄ってこない」などと申しておりました。好事魔多し(こうじまおおし)、と申しますか、まさかこのような形で旅立ちますとは、私どもにとりましても思いもよらぬことでございました。あまりにも突然すぎる事態に、遺族はもとより私どももまだ信じられないような気持ちでございます。
残された者達のことを思いますと、私も親族のひとりとして、胸の痛む思いがいたすのでございますが、何とか頑張って皆でやっていくと申しております。それにいたしましても、皆様方のお力を拝借いたさなくてはできないことでございます。
どうか今後とも変わらぬご厚情を賜りますよう、心からお願い申し上げます。出棺の時刻も迫ってまいったようでございます。お見送り、まことにありがとうございました。
世話役の場合
皆様のおかげをもちまして、告別式ならびに葬儀万端とどこおりなく相済みまして、出棺の時刻も迫ってまいりました。終わりに臨みまして、ひと言お札を述べさせていただきます。
○○氏は皆様ご承知のとおり、会社社長として事業経営にあたるとともに、業界団体であります○○工業連合会理事長として、長い間その要職にありました。官庁との折衝、あるいは業界の取りまとめにと、文字通り東奔西走、席の暖まる暇なく活躍をしてこられました。
私どもの業界も難しい時代にさしかかってまいりました。ここにおいて○○氏を失いましたことは、実に大きな痛手でございます。一体どのように事業計画を進めていったらよいのかと、茫然自失(ぼうぜんじしつ)のありさまなのでございます。「巨星墜つ(きょせいおつ)」とはまさにこのことでございましょう。
しかし、それに比べましてもっと大きな悲しみを抱いておられるのはご遺族の方々と存じます。どうぞ今後ともに、○○氏生前と同様、ご厚情をお寄せ下さいますよう、故人になりかわりましてお願い申し上げます。
大変高い席から恐縮でございますが、世話役という役に免じまして、どうぞご容赦いただきたいと存じます。本日はまことにありがとうございました。
上記挨拶例はあくまでも例ですので、挨拶をする人が、会葬者に対して感謝の気持ちと死者に対して哀悼の意を表す挨拶であれば、どのような言葉でも構いません。
一般的な葬儀の流れについて
この記事でお伝えしたこと以外に一般的な葬儀の流れについても知っておくとより理解が深まります。
詳しくは「一般的な葬儀終了までの流れとその後に行なわれる5つのこと」でお伝えしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
今日は、基本的な出棺の手順と世間で知られている出棺時の習慣、それに挨拶例をお伝えしましたが、お役に立ったでしょうか?
まだご不安に感じている人は、事前相談などで葬儀会社に問い合わせてみましょう。