消毒と滅菌と殺菌の違い|日常生活における正しい消毒方法

家族や自分が風邪を引いてしまったり、ニュースなどで食中毒やインフルエンザ等が流行っていると報道されると、自分たちは大丈夫かなと消毒のことが気になりますよね。

手洗いやうがい等をしっかりとしていても、特に小さなお子様がいる家庭では、はやり心配ですよね。

そこで、今日は消毒の基礎知識とその具体的な正しい消毒方法、対象に合った消毒液についてお伝えします。家族の健康のためにしっかりと身に付けておきましょう。

消毒と滅菌と殺菌の違い

消毒とは、生存する細菌の活動を弱めてその数を減らす行為です。その結果、人体に有害な物質を除去または無害化することができます。

決して細菌をすべて殺滅したり除去するものではありません。消毒の英訳は、Sterilizationで「ステリリゼイション」と読みます。

消毒は「滅菌」や「殺菌」とは異なる

簡単にいいますと、消毒とは細菌の活動を弱めることです。

一方 消毒に類する言葉に滅菌や殺菌がありますが、厳密にはその意味は異なります。その違いは以下のとおりです。

【違い①】 滅菌=すべての細菌を死滅

つまり、任意箇所のあらゆる細菌すべてを完全に除去する行為です。

【違い②】 殺菌=特定の細菌を殺す

つまり、狙った病原性や有害性等を有する細菌を死滅させることに主眼を置いた行為です。

細菌数の減少率で順位をつけると、以下の順になります。

  1. 滅菌
  2. 殺菌
  3. 消毒

日常生活での正しい消毒方法

この項目では、一般の人に必要と思われる日常生活における主な3つの消毒方法について詳しくお伝えしていますので、しっかりと身につけておきましょう。

①手指の消毒方法(インフルエンザ予防)

インフルエンザやノロウィルス、MRSAの感染予防に欠かせないのが手指の消毒です。しっかりと石鹸とアルコールによる手指の消毒方法を捉えておきましょう。

石鹸による消毒方法

消毒:石鹸手洗い方法

アルコールによる消毒方法

消毒:アルコール

イラスト出典元:http://family.saraya.com/

哺乳瓶・おしゃぶりは煮沸消毒

【STEP①】哺乳瓶を洗う

煮沸消毒する前に、哺乳瓶を瓶と乳首に分けて洗浄しておきます。

【STEP②】水を沸騰させる

鍋などに水をタップリ入れて沸騰させます。

【STEP③】哺乳瓶を入れる

水が沸騰したら、哺乳瓶と乳首を入れます。

【STEP④】乳首を取り出す

まずは、約5分したら乳首を取り出します。その際は箸やトングで取り出して、きれいなキッチンペーパー等で自然乾燥させます。

【STEP⑤】瓶を取り出す

その後2分以上経過したら瓶を取り出します。乳首と同じように自然乾燥させます。

ピアスは消毒ではなく洗浄する

耳たぶなどピアスをつけた箇所を消毒する場合は、消毒液を使用するのは避けて洗浄するようにしましょう。

その理由は、消毒液が細菌だけでなく皮膚細胞も殺してしまうからです。ピアスの洗浄手順は以下のとおりです。

正しいピアスの洗浄手順
  1. まずは温かいお湯でピアス周辺を洗い流して汚れを取ります。
  2. ボディーソープまたは石鹸を泡立てます。
  3. ピアス周辺を包み込むように泡を塗ります。
  4. そのまま2~3分間放置してピアス穴やピアスに付いた汚れを浮かせます。
  5. 痛くないのであればピアスを動かして穴内も洗浄します。
  6. さらに2~3分間経過したら全体を綺麗に洗い流します。
  7. 患部を清潔なタオルで拭いて余分な水分を取り細かい部分は綿棒でふき取るといいでしょう。

はじめてピアスを開けた人は、1日2回は上記の洗浄を行いましょう。2ヶ月以上経って状態が安定してきたら入浴時など1日1回でいいでしょう。

消毒や滅菌には20分類の方法がある

まず消毒や滅菌方法は大きく「化学的方法」と「物理的方法」の2つに分類されています。

そして「化学的方法」は、さらに液体と気体の2つに分類され、「物理的方法」は、熱と照射、紫外線、濾過の4つに分類されています。

そして具体的な消毒・滅菌方法となると20分類もあります。詳しくは下記の消毒・滅菌の分類図をご覧ください。

次項目では、上記図の中でも一般家庭で詳しく知っておいていたほうがよいと思われる薬液消毒(消毒液)についてお伝えしています。

実は消毒液にも9つ系統がある

消毒液というと、ほとんどの人はアルコール(エタノール)系を思い浮かべると思いますが、実はその他にも消毒液には8つの系統があります。

いざという時に役立つかもしれませんので知っておきましょう。

①アルコール系

消臭対象 ・手指
・皮膚
・手術部位の皮膚
・注射剤
・ドアノブ
・水道ノブ
・洋式トイレの便座
・カートなど

②塩素系

消臭対象 ・哺乳瓶
・投薬容器
・蛇管
・薬液カップ
・食器
・まな板
・リネンなど

③オキシドール系

消臭対象 ・創傷
・潰瘍
・口内粘膜
・コンタクトレンズなど

④ヨウ素系

消臭対象 ・手術部位の皮膚や粘膜
・手指や皮膚の創傷部位
・熱傷皮膚面
・感染皮膚面など

⑤アルデヒド系

消臭対象 ・内視鏡
・ウイルス汚染の医療器材など

⑥ビグアナイド系

消臭対象 ・外陰や外性器の皮膚
・結膜嚢
・創傷部位
・手指
・皮膚
・医療器材など

⑦第四級アンモニウム塩

消臭対象 ・感染皮膚面
・手術部位の粘膜
・創傷部位
・結膜嚢
・膣
・医療器材など

⑧両性界面活性剤

消臭対象 ・手術部位の粘膜
・創傷部位
・手指
・皮膚
・医療器材など

⑨色素系

消臭対象 ・化膿局所など

水道水の消毒対策について

ここでは、健康生活に欠かせない水道水について、東京都水道局で行なわれている消毒対策を簡単にお伝えしています。

基本的にはその他の水道局でも類似した対策が行なわれていると思われます。

水道水は塩素消毒されている

水道普及率と水系伝染病の関係

水道水に使われている塩素は、病原微生物の消毒という重要な役割があります。日本における塩素消毒の歴史は、1921年(大正10年)に東京市と大阪市で始まりました。

水道施設の整備が進むに伴って、乳幼児の死亡率やコレラ、赤痢、腸チフスなどの水を介して伝染する病気の患者数は急激に減少しました。

水道水の塩素濃度を0.1mg~1mg /リットル

現在、日本の水道水は1957年(昭和32年)に制定された水道法によって、蛇口での残留塩素濃度を0.1mg/L以上保持するように定められています。

また、その一方で、味やにおいの観点から、上限を1mg/L以下に抑えるという水質管理目標値も示されています。なお、消毒の人体への影響については、水道水のレベルでは心配ありません。

蛇口での残留塩素を連続で管理している

東京都水道局では、都内131箇所に自動水質計器を設置して、残留塩素の連続的な監視を行い、いつも適切な濃度に保っています。

さらに、「よりいっそうおいしい水を!」というお客さまの声にお応えするため、蛇口の残留塩素の濃度をできるだけ低くするようにしています。

稀なケースだが孤独死があった部屋には消毒が必須です

不幸にも身内が孤独死してしまった場合、その部屋には人体に有害な細菌が発生している可能性があります。そんな部屋を一般の人が立ち入ると感染症になる危険もあります。

また通常のハウスクリーニング業者は、部屋の汚れを落としてキレイにする技術は持っていますが、消毒や消臭に関しては全くと言っていいほど技術やノウハウは持っていませんので役に立ちません。

孤独死の消毒消臭は必ず特殊清掃業者に依頼すべき

そこで、お勧めなのが、特殊清掃業者による消毒・消臭作業です。「特殊清掃業者」とは、いわゆる通常の清掃会社とは全く異なり、遺体があった部屋を専門に消臭消毒サービスを提供している業者になります。

特殊清掃業者について詳しく知りたい人は、「特殊清掃の基本的な情報」で、その消臭消毒サービスの内容をお伝えしていますので、興味はある人はご覧ください。

まとめ

今日は消毒の基礎知識とその具体的な正しい消毒方法、対象別に合った消毒液、水道水の消毒などについてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

この記事が家族の健康のために少しでも参考になれればうれしく思います。

ページ先頭へ